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『ラブ・ジャンキー 日本発タイ行性の直行便』に見る90年代の諸事情(1)


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本日から3回に分けて家田荘子『ラブ・ジャンキー 日本発タイ行性の直行便』レビューをお送りします。スゴイサブタイトルですよね。

家田荘子さんと言えば、最近では高野山のお坊さんのイメージですが、

代表作はもちろん『極道の妻たち』や『イエローキャブ』など。『私を抱いて、そしてキスして~エイズ患者と過ごした一年の壮絶記録~』では大宅壮一ノンフィクションを受賞しており、一時代ぶいぶい言わせたノンフィクション作家です。

 

作品のタイトルとなった『イエローキャブ』というスラングは実際には使われていないという説が出るなど、ネタに多少演出の匂いがあることから(もっともそう思ってしまうほどの生々しさが彼女の文章の魅力でもあります)、異端視する人も少なくないです。

 

そんな彼女がタイでセックス産業の周囲にいる人々14人を〝売る側〟〝買う側〟に分けて

インタビューしたものをまとめたのが本作です。

インタビューは通訳を介していると思われ、ひどいときは日本語→タイ語少数民族語と二人通訳をはさんでのインタビューなのですが、非常に饒舌なしゃべりになっています。

通訳が相当優秀でも、なかなかこんな感じにはならないと思います。

このあたり、才能なんでしょうね。

 

 

,◎プロローグ

タニヤの日本人向けクラブ(オフあり)に、筆者が新人ホステス〝ノイさん〟として潜入取材するシーンから話が始まります。身体中を品定めするような日本人男性客の視線にドン引きし、指名されて席に着くと生理的に無理な感じの脂ぎったオッサンたち。彼らが一流企業の社員だと知って、思わず席を立ってしまう──。

 

◎売る側の論理

「十一歳で売られた娘が見たもの」

モン族(メーサイとミャンマー近辺に住む少数民族)出身の18歳。11歳のときに置屋に売られ、その日から客を取らされた。字は読めないし、数も20ぐらいまでしか数えられないという。1年後、店が警察の手入れを受け、家に帰されたが、家が貧しいため、自らバンコクに戻った。筆者は彼女を連れてメーサイの彼女の実家を共に訪れる。すべての感情を失ったような彼女が帰郷の際に見せた表情は意外なものだった。

 

「カネのため身体を売る青年の本音」

バンコクに上京し、ゲイクラブをそういった場所だと知らずに就職してしまった20歳のチェ。実家に仕送りをするために。店の人間に勧められて〝売り〟を始める。

やがて店のチーフになり、売りはしなくてもよかったが、従業員同士のトラブルで店を移ったため、また〝売り〟を始めた。エイズが怖いので、一定のお金を貯めたら辞めるつもりでいるが、3年間辞められずにいる──。

パタヤのゲイクラブに集う日本人20代女子の情報も。90年代からスパンヤオ女子っていたんですねえ。

 

「タイ版リゾ・ラバが語る日本の女性事情」

こちらはプーケットのビーチボーイへのインタビューです。

〝性に奔放〟な日本人女性たちのご乱行がこれでもかと語られています。

おじさんが好きそうなテキストです。

必ずしも女性の〝売春〟だけを扱ってないのが本書の特徴だと言えるでしょう。

 

「私は日本人の恋人の子を堕ろした」

タニヤのクラブで働いていたムイ(20歳)は日本の新聞社に勤務する男と恋人関係になる。

男が借りていたアパートメントタイプのホテルに転がり込み、一緒に暮らしていた。

しかし、彼はムイが妊娠してしばらく経ったある日、日本へ帰ったまま連絡が取れなくなってしまう。ムイは彼を待ち続けるために、仕事も辞めたのだった──。

 

(この項続きます)