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スワイパーの落日 (1)


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初めてタイに行った96年ごろ、ネットで〝幻の国〟の噂を聞きました。

何でも、郊外の村が一つ丸々置屋になっており、

米ドル数ドル程度で朝から晩まで入り浸ることが可能。

しかも、マリファナやり放題だというのです。

ネットでもおおっぴらに情報が出ているわけではなく、

有料で入手できるテキストに書いてありました。うーん、怪しい。

一説によれば、かつてバンコクのヤワラーあたりに巣食っていた世捨て人たちも、

物価の高くなったタイを捨てて移り住んでいるとかいないとか。

 

とりあえず、嘘かホントかその話に乗っかって、行ってみることにしました。

目指したのはバンコクから飛行機で1時間半、当時東南アジアに残された最後の無法地

帯、カンボジアプノンペンです。

 

空港を出た途端、北斗の拳のような世界に放り込まれます。その日の糧を得

るために空港からの客をゲットしようという雲助の集団に襲われます。

立ち止まって交渉している余裕などないので、元気があって悪くなさそうな男を一人見

繕ってそいつを盾に人込みを突破します。

 

 

フランス植民地時代の名残りのある街並みは、かつての面影を今に遺していますが、

おおむね廃墟です。

タクシー(白タク)の運転手にホテルに案内してもらい、ついでに街中の薄汚い食堂で

食事をとりました。食堂の横では警察が検問のようなことをやっていて、

食堂の奥ではその親玉たちらしき警官数名がバーベキューのようなものをしながら酒盛りをしていました。

その中でとくに恰幅の良い一人が僕を見つけて、こっちへ来いと手招きをします。

行くと自分たちの皿を指さして、何やら威張っています。

すると、その様子を見ていた運転手が、血相を変えて割って入りました。

警官に向かって何か言うと、警官は「冗談だよ」とでも言うように笑ってごまかしてい

ます。

どうやら、警官たちの飲み食い代も払わせようと難癖をつけられたところを、運転手が

助けてくれたようなのです。まぢ、〝北斗の拳ワールド〟やん……。

 

その日は早々にホテルに帰って寝ました。

だって「暗くなったら外へ出るな」って言われたもので。

とりま、夜はめっちゃ長かったです。

 

昨日の運転手にバイクの運転手を紹介してもらい、目的の『スワイパー』へ。

バイクに揺られて川沿いの道を30分以上走ります。

道はバイクで混雑してます。しかも3人乗り、4人乗りとかフツーなので、みんなトロト

ロとゆっくり走ります。

舗装されていない道なので、埃がすごいです。みんな薄汚れています。

 

しばらく行くと「コンドームをつけよう」的なスローガンが各国語で恥ずかしげもなく

掲げられた門が現れました。

これがベトナム人置屋村『スワイパー』です。このカンボジアではただでさえベトナ

ム人は嫌われているそうで、そんな人たちがこんな商売をしているので、迫害などもひ

どいそうで、自衛のために村を構えているとかいないとか。

 

とりあえず、ここが〝幻の国〟らしい。

でも、なんか想像していたのとちょっと違うなあ。

何か、すべてが小汚いんです。シャワーがわりにでっかい壺がどんと置いてあって、茶

色い水が張ってあるだけだし。

 

一軒の置屋に入ると、中からぞろぞろと女のコが出てきて顔見せをするのですが、

化粧っけがあまりないせいか、みんな幼く見えます。

最年長でも20歳いっていないんじゃないか。あんまりこういうのは趣味じゃないなあ。

 

時間もあるので、この日はホテルに連れ帰ることにしました。

お値段、ロングで20米ドル。ちなみにショートだと5ドルで、カンボジア人だと3ドル

までディスカウントしてもらえることもあるのだとか。

 

バイクをもう1台チャーターして、また30分以上揺られてホテルへ帰ります。

女のコはとにかく大人しいコでした。

ほとんど話すこともなく、やることをやって長い夜が更けていくのでした。