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某女優さんとの一夜のFantasy


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昔は毎晩のように人様の後をついて歩いて、ネタを拾うというあこぎな商売をしており

ました。

そういうのって、実際に見たこと、聞いたことの中で、〝使える〟部分は実に全体の

数%にも及びません。

ほとんどの情報は、〝使えない情報〟として、心の奥深くに仕舞っておく他ありませ

ん。本日はそんなお話を、少々。

 

〝使えない情報〟というのは、知っていたからといって、「だからどうなの?」と言っ

た類の〝使い道のない話〟だということです。

つまり、噂話としては面白くても、それを雑誌に書いたところで、毒にも薬にもならな

い、いや、書かれた人はフツーに迷惑なだけ、といったお話です。

 

例えば、とあるスタジオからの仕事帰りの某女優(元宝塚娘役トップ)の事務所の車

を追いかけたところ、途中で駐車場に立ち寄ったまま、出てこない。

20~30分ほど経ったあと、ようやく車が駐車場から出てきたので、

現場に一人残して跡を調べたところ、どうも駐車場の隅で吐いていたらしいことが判明

した。そんな感じの話です。ね、どうしようもないでしょ?

 

それは10年ほど前の話になります。

何らかのイベント終わりのタレントを追っていたときのことです。

銀座の裏路地をふらふらと歩くその女優を、相方のカメラマンが偶然発見したのです。

「ゴーゴーさん、あれ、女優の××じゃない?」

真っ暗な中、こちらの車内から見えるその姿はシルエットだけで、顔までは見えません。

××といえば、僕らの世代からすればどストライクの往年のアイドルです。

顔さえ見れば間違うことなんてありえないぐらいの存在。

「そこまで言うなら確認してくるわ」

僕はいったん車で女を追い越し、次の角を曲がったところに車を停めると、

下りて正面から女とすれ違いざまに顔を覗き込みました。

黒くて大きいコートに身を包み、さらにフードで顔を半分以上隠しているため、女の顔

は確認できませんでした。

しかし、足取りはかなりふらついており、相当酔っ払っている感じです。

「いやあ……わかんないわ」

「たぶん、間違いないと思いますよ」カメラマンは自信満々です。

 

 

まあ、今回だけじゃなく、これまでにも街を歩いていて偶然に芸能人を何人も見つけて

来た実績がある男なので、信じないわけにも行かない。

 

「あっ、倒れてる!」いつの間にか女はボロクズのように道端に倒れて動かなくなって

いる。大丈夫だろうか。この乞食みたいな女が、果たしてあの大女優なのだろうか。

 

「立ち上がりますね。タクシーを止めようとしているのかな?」

カメラマンの言うとおり、女を見るとゆっくりと立ち上がり、車道の方へ何やら一生懸

命にアピールしているようだ。

すぐ目の前に僕らの車もいるのだが、それは眼中に入ってないらしい。

「タクシーのふりをしたら、乗ってくるんじゃないすか」

「それ、ユーカイだから。怖いこと言わないでくれよ」

 

いかにも酔っ払ってます的な風体の怪しい女のために停まってやるような優しすぎるタ

クシーはなかなか現れないようだった。

僕らもいい加減彼女を見捨てようとしたそのとき、一台のタクシーが停まった。

待ってましたとばかりに女が乗り込む。

僕らはタクシーの後を追った。

 

「おかしいな?降りて来ない……」

タクシーは20分ほど走って、品川あたりのまだま新しいマンションの建つエリアに停

まったままだった。中からは誰も下りて来ない。

「寝ちゃったのかな?」

僕は車から下りて、タクシーに近づいて行った。

コンコン、と後部ドアをノックすると、果たして後部座席一杯にしどけない寝姿で眠る

女と困惑する運転手がいた。

「知り合いなんで」と出まかせを言ってタクシー代を払って女を下ろす。

放置してもいいのだが、やっぱり帰りづらいからだ。

 

女は「はあ、どうも」と寝ぼけていたが、とくに文句も言わず、どこかへと帰って行っ

た。件の女優その人に間違いなかった。

でも、何であんな場所でふらふらしていたのか、まったくわからなかったし、

写真もシルエットのようなものしか撮れていなかったので、記事にしようがなかった。