イメージカットです。
「テーメーカフェ」で素敵な女性と知り合ったのはいいけど、いざフタを開けてみたら、結局はただの「チョンの間」だったよ、というお話を3回に分けてお送りしてきました。
次は、「チョンの間」とは全く逆のバージョンなんだけれども、それはそれでどうよ?
…っていうお話です。時期的には前回と同じころだと思います。
まだ、僕にとってタイが、〝出会いPARADICE〟の夢に溢れていた頃のお話です。
スクムヴィットのsoi7とか9とか11あたり、どうも僕は何度行ってもあのあたりの区
別がイマイチよくわからないんですけど、奥の方オープンエアのような庭園ぽい場所に
ビアガーデンのような店があります。
外から中の様子はあまりよく見えなくて、薄暗くなるとたくさんの男女で賑わっている
ようにも見えます。
これは、もしかするとテーメーみたいな場所ではないかと思い、一度中に入ってみまし
た。すると、思った通り店内の男女比は4:6ぐらいで女性の方が多め。
男はほぼファラン、女はほぼタイ人という顔ぶれでした。女性はファランもぽつぽつい
るようです。タイ人女性たちも、バービヤの従業員ではなく、お客として来ている感じ
です。ただし、年齢は様々で、若いコもいれば、昔は若かったであろう人もいて、いろ
いろと取り揃っている感じでした。
空いている席を見つけて、一人ビールを飲んでいると、さっそく何やら声をかけてくる
女がいます。
「ハーイ!一人なの?」
どこからどう見てもフツーのタイ人のおばさんです。僕より年上だろうなって感じ。
たぶん、何かくれるとしてもついて行きたくないです。悪気はまったくないんですが、
反射的に嘘が出てしまいました。
「いや、友達と待ち合わせをしているんだ」
へえ~ホントに?…っていう含みを持たせて、女は雑踏の中に消えて行きました。
しかし、そのわずか10分後──。
「友達を連れて来たわよ」と、僕の前で胸を反らせる先ほどの女。
見ると、横にずいぶん若い女のコを一人、従えています。
色白でえらく痩せているコです。くまのぬいぐるみのリュックがさらに彼女を幼く見せ
ています。年齢は20歳ぐらいでしょうか。どこから連れて来たんだろう?
「さあ、このコと私にビールをごちそうして」おばさんは居丈高に要求します。
何となく、おばさんの勢いに負けてしまった僕は、二人分のビールを買って席に戻りま
す。しかし、一方でこれからどうなるのか、ちょっと楽しくなってもいました。
女のコは一人でこの店に遊びに来ていたところを、おばさんに無理やり連れて来られた
ようです。
「私、あなたと二人でホテルに行きたい」
女のコがぼそっと囁くので、おばさんにビールのお代わりを買いに行かせ、その隙に二
人で店を出ました。
ホテルの部屋に一緒に帰り、部屋で彼女の身の上話を聞きました。
サラブリー出身で子供が一人いること。
あの店には時々行くこと。
バンコクの郊外に親せきと住んでいること。
服を脱いだ彼女の身体は服を着ているときよりもかなり痩せていて、
とても子供を産んだ女性とは思えない幼さでした。
よく見ると熊のリュックも、かなり薄汚れていました。
翌日のお昼近く、彼女が家に帰るというので、タクシーで送って行きました。
タクシーはスクムヴィットをえんえんと走り、BTSの終点よりも遥かに遠くにある郊
外の小さな町に着きました。
路地のどんづまりにある一軒のアパートの階段を上ると、二間ぐらいの床に家族6人ほ
どが川の字になって就寝中でした。僕と彼女が部屋に入って行くと、彼女の兄らしき若
い男がLEOの大びんを持ってきて、温いビールをふるまってくれました。
すると、彼女の母親代わりらしい初老の女性が、起きてきて、近所の食堂へ行ってなぜ
か3人で飯を食いました。
「また、会いに来てね」別れ際、彼女からは未練たっぷりに言われたのですが、
それ以来、会っていません。
〝ちょうどいい加減〟というのはなかなかに難しいです。
やっぱりゴーゴーぐらいがちょうどいいですね。
そんな結論でこの項終わります。