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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む Reboot(2) タイのセックスワーカー数、収入など


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イメージ画像です

 


タイのセックス市場 の規模と歴史

みなさんご存じのとおり、タイのセックス市場は巨大であり、多様性に満ちています。タイの真面目な人は怒ると思いますけど、裏観光名物であり、タイが世界第4位の観光大国である一因だと思います。

では、その性産業の主役である〝売春婦〟はどれぐらいいるのでしょうか。

過去の調査などによると、その推定の難しさや〝売春婦〟の定義の違いによってかなりひらきがあるようです。あるでは15万人から20万人、1年の間には20万人から30万人の女性が働いているといいます。

また、タイの経済学者であるポンパンチット教授らによると、93~95年に性産業が生み出した経済効果は1000億バーツにのぼり、当時のタイのGNPの2.7%に相当するそうです。

 

タイの性産業は19世紀の後半、中国からの移民が急増した時期に貿易港として栄えていたサンペン地区。中国系移民の男性が多く住んでいた同地域で彼らの需要にこたえるために、性産業の一大密集地域が出来たといいます。そのセックスワーカーの多くは、やはり中国系移民でしたが、やがてタイ人女性も巻き込みます。

このようなプロとしてのセックスワーカーの登場が男性の賃金労働力市場の形成によって発展するのと同時期におこるのは、他の国でもよくみられるパターンです。

1995年に奴隷制が廃止され、行き場のない奴隷たちが性産業になだれ込んだのも、追い風となりました。こうして20世紀の初めには売春は政府公認となり、さらに発展していきます。

 

このように発展してきたタイの性産業は、そもそもは国内向けのものでした。

それが一大転機を迎えるきっかけとなったのがベトナム戦争です。

1966年にタイとアメリカの間で結ばれたレスト&レクリエーション条約によって米兵の休憩および娯楽基地としての役割を与えられたタイでは、性産業は外国人向けのものとして、一気に花開きました。

当時、北爆のための空軍基地の一つが置かれた北部ウドンタニでは1966年には1246人だったセックスワーカーが74年には7000人を超えていたというデータもあります。

戦争期間を通して、ベトナムからの米兵が押し寄せることとなったタイでは、米兵目当てにアメリカンスタイルのバーが乱立することになりました。みんな大好きゴーゴーバーもその一つです。

 

 

多様なセックスワーク

タイの性産業の特徴はその大きさだけでなく、業態の多様性にあります。

まあ、日本もたいがいなので、その点は感じづらいかも知れませんが。

それだけ売春は一般化しており、業態もゴーゴーのように高収入も可能なものから、人身売買に近い形で働かされる置屋のような仕事もあります。

前出のポンパンチットによると、タイの女性セックスワーカーは労働時間と動機によって4つのカテゴリーに分けられるといいます。

 

1.ある種の束縛下にあるもの

2.家族を支えるために厳しい経済的強制の下にいるもの

3.金銭的なインセンティブの下、自らこの仕事を選んだもの

4.パートタイマーやセミプロ。他に肩書があるもの

 

女性たちをこれらのカテゴリーに正確に分けることは難しく、また各カテゴリーの構成比もわかりません。

ゴーゴーバーなど外国人観光客相手の仕事をしている女性たちは3に近いことが多いようです。田舎の家族に送金している人は多いですが、強制されている場合はほとんどみられず、できる範囲で送金しているケースが一般的、と本書では指摘しています。

※この場合の〝強制〟は、お金がなくてやらざるをえない、というケースは含みません。

 

過去の研究者の分類によると、タイの性産業は次のような業態になります。

 

置屋

・ホテル&モーテル

・茶室

・マッサージパーラー(MP)

・コールガール、エスコートサービスなど

・バー、ナイトクラブ、ゴーゴーバー、カクテルラウンジ、レストラン

・街娼

・その他、ゴルフクラブ、ディスコ、パブなど

 

伝統的な置屋はタイ国内各地にあり、労働条件の厳しいもっとも低単価の業態です。客層はほぼタイ人男性に限られ、ホテルやモーテルに雇われている娼婦や茶室など同様に低単価で束縛が厳しい業態です。多くの場合においてセックスワーカーには職業選択の自由が制限され、健康状態などについて配慮されることもありません。

こうした場所で働くのは何らかの厳しい圧力によって、強制的に働かされているケースが多いです。

コールガールやエスコートサービス、MPは最も単価の高い業態でタイ人と外国人両方を客層としています。管理は比較的ゆるやかで、MPなどは出勤回数も多少は個人の希望を反映できるシステムとなっています。

 

カラオケクラブ、カクテルラウンジは日本のいわゆるクラブに似た業態で、日本人向けのものとタイ人向けのものに分かれます。

ゴーゴーバーとその周辺のバービアは、ほぼ外国人に特化した業態です。

これらの業態ではセックスワーカーは、店ではダンサーや従業員として雇われており、えっちなサービスは建前上はあくまでオプションとなっているのが特色です。

性的サービスは女性と客との直接交渉により店外で行われる、ということになっています。その意味では個々のセックスワーカーフリーランサーという立場です。

もちろん実際には店がバックにいるのですが、管理は比較的ゆるく、サービスの内容も女のコの裁量にまかされる部分が大きくなっています。

 

 

セックスワークの単価と収入 

セックスワークの客単価は客層によって大きな差があります。

地方の置屋など低所得層のタイ人男性を客層とする業態では、1回のセックスの単価は100~500バーツ程度です。

一方で欧米人や日本人を相手する業態はショートタイム1回で1500バーツ以上があたりまえで、タイ人富裕層相手のカラオケクラブなども同様となっています。

ただし、ゴーゴーバーなど客との直接交渉を行う業態では、サービスや単価は曖昧で個人による差は大きいです。

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本書に掲載された表をもとに作成。分かりづらい業種をいくつか省略してます。

第2章の前半をまとめました。後半は「観光志向のセックスセクター隆盛の歴史的背景」。なぜ、タイが外国人向けの性風俗天国になったのかを読み解きます。