第3章「ゴーゴーバー素描」に入ります・。
この章から、著者がコツコツと自らの足で調べたフィールドワークの内容が明かされるのですが、この当時のゴーゴーに関して、もっとも詳しく調べ上げた資料であるといっていいと思います。ほかにそういうものがあるのか知りませんけど。
フィールドワークは99年9月から00年12月の間の1年以上をかけて行われました。
調査機関を通じて著者は1週間に5日、1日に3~4軒スクンビットのゴーゴーバーをハシゴして回り、店内観察や関係者のインタビューを行ったそうです。
回ったのは主に大型の店舗ですが、小規模な店も数週間に1度は顔をだすようにしたとのこと。
1店あたりの滞在時間は2時間男性客たちから話を聞き、最終的に61人のバーガールと日本人を中心とした23人の男性客をデータベースとして残したものが、このフィールドワークなのです。素晴らしい仕事だと思います。ゴゴオタの僕としては、いつか挑戦してみたいです。
以上のような経緯を経た調査なので、必ずしも「それがパッポン通りを含むバンコクのゴーゴーバー全体の事例に例外なく適用可能だと主張するつもりはない」との断り書きがありました。
ゴーゴーバーの立地
ゴーゴーバーの立地は極めて集中率が高いのが特徴です。
そういった場所はバンコク中心部及びパタヤ、プーケットといった有名ビーチリゾートの繁華街に限られ、それ以外はチェンマイやコンケーンなどに例外的に存在するのみとなっています。
バンコク中心部には、シーロム・スリウォン地区、スクンビット地区、スティサン地区などがゴーゴーのある繁華街ですが、このうちスティサン地区は規模も小さく、客層もほぼタイ人なので本書の対象には含まれていません。
スティサンのゴーゴーには僕も2~3回行ったことがありますが、いわゆるゴーゴーとは似て非なるもの、という印象でした。
女のコが少なくて客がやたら多い。フードもあったりするので、レストランパブみたいな雰囲気です。女のコが攻撃的でなくて楽しいは楽しいんですけどね。
シーロム・スリウォン地区は、最も歴史の古い歓楽街です。
ここはビジネスにおいてもバンコクの中心地といえます。昼間はオフィス街ですが、夜は国際的な歓楽街の顔をみせるのです。
ゴーゴーバーがここに姿を現わしたのは80年代です。現在ではそれ以外にもゴーゴーボーイやMP、カラオケクラブなどが点在しています。タニヤもこのエリアです。
シーロムと比べるとスクンビット地区は比較的新しいダウンタウンで、欧米人や日本人が多く住んでいます。パッポンのあとを追うようにナナプラザとソイ・カウボーイができ、00年~03年にはその中間にクリントンプラザがありました。
テーメーカフェもこのエリアにあります。
ゴーゴーバーの客層
スクンビット地区のゴーゴーバーのほとんどは、表向きタイ人男性の入店を禁止しており、客層のほとんどは外国人です。
このルールは、実際にはそれほど厳しく適用されているわけではなく、タイ人男性でも入店は可能ですが、その姿を見かけることはほとんどありません。
男性客の国籍別の人数は不明ですが、バーガールたちの印象としては最も多いのが白人男性で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなどから訪れる客が目立つようです。日本人はそれに次いで良く見かけるグループとされています。
そして、それに次ぐのが日本以外の東アジア諸国(韓国、台湾、香港、シンガポール、中国など)で、インド・アラブ系や欧米出身のアジアマイノリティもわずかに存在するようです。
現在では中国人が一大勢力を築いていますよね。また、僕の個人的な印象では、00年代は国籍別なら日本人が一番多かったような印象です。
これらの国から訪れる短期の観光客が、ゴーゴーバーの主要な客層となっています。
しかし、それとは別に現地在住者やリピーターも一定の存在感があるようです。
スクンビット地区
「スクンビット通りの起点からソイ21(アソーク)近辺までは、3つのゴーゴーバー密集地を中心として、タイを訪れる欧米人や日本人の男性をターゲットにしたセックスのテーマパークのような様相を呈している。」
最近はキレイになっちゃいましたが、少し前までは日中から歩道に露店が並び、歩くのにも苦労するほどでした。ヒジャブ姿のアラブ系と思しきおばちゃんたちが買い物に夢中で邪魔なんだ、これが。
ソイ4のナナプラザの前にはナナホテルがあり、1階のディスコにはフリーの娼婦がたむろしていました。ソイ3のグレースホテルやソイ15のクリントンプラザの隣にあるテーメーカフェもそんな出会いの場所として有名でした。
深夜になるとこういった場所には、あぶれたゴゴ嬢やMP嬢、カラオケのホステスも姿を現わして賑わいます。このようにスクンビット地区ではゴーゴーバーだけでなく、さまざまな施設がお互いに騒擾効果を持って集客をしているのです。