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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (13) ~ゴゴ嬢が抱える3つのリスクとその対処~


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FAHRENHEIT』PATTAYA

 

 

ゴーゴーバーに入って気に入ったコがいたら、お客は自分の席に呼んで、まず会話などのコミュニケーションをします。

バーガールたちはリクエストに積極的に応え、片言の英語や日本語、ときにはタイ語の会話でお客を楽しませ、より自分を気に入ってもらってドリンクやあわよくばオフをゲトすべく手練手管を尽くすのです。

このとの会話は自分のアピール以外にもう一つ重要な目的があると著者は指摘しています。すなわち情報収集のためだというのです。

「where you forom?」ゴゴ嬢との会話はだいたいこんな感じから始まります。

まず年齢・職業・出身地など相手の素性を聞き出すことで、会話をふくらませて相手の好みや性格、財布の中身を把握することが、ゴゴ嬢にとって取引を成功に導くための手段として欠かせないからです。

経験を積んだバーガールともなれば、相手の国籍や年齢、見た目などである程度財布の中身を判断できます。しかし、そうした知識はしょせん目安にしかなりません。直接の対話で得た情報で判断したほうがまだ正確なのです。

このように、ゴゴ嬢と初見の客との取引は、中東のバザールでの取引以上に不確実性に満ちているといえます。

無防備に初見の客をとったら、その先にどのような結末が待っているかを事前に察知することは極めて難しいのです。

社会学者・エリック・コーエンによれば、当事者間の合意で商売をしているセックスワーカーは不払いなど物質的損失の危険、暴力などによる身体的な危険、性感染症などの健康面での危険と3種類のリスクに直面しているといいます。

著者のフィールドワークからそのようなケースを見てみましょう。

 

 

 

【ケース1】

ケーンはナナプラザ2階のゴーゴーでダンサーとして働いている。

東北出身、20代後半で容姿は普通だが〝控えめな愛想の良さ〟でまあまあお客はついている。英語が少し喋れるので、観光ガイド役で客にオフされることが多く、店で盛り上がって一緒にディスコに行くこともしばしば。デートが終わると客のホテルやアパートまでついて行くが、自分から〝えっち〟を切り出すことはない。ストレートに商談に持ち込むと、嫌な顔をする客がいるからだ。もちろん客のほうから切り出してきたときは素直に応じる。

客との〝えっち〟が終わった後に、いつもケーンは報酬を要求することにしている。事前に支払額を確認している場合は問題ないが、そうでない場合はタクシー代として現金を要求する。お客が察してくれると期待しての行動で最低1500バーツぐらいはくれるだろうという計算。しかし、中には本当にタクシー代の100バーツしかくれない客もいる。

そんなときケーンは自分がいかにサービスをしたかを強調してその金額では不十分だと主張する。それでも、カネがないといって払ってもらえない場合もある。

そんな客は20代の若者に多いとケーンは言い、だから自分は中高年の紳士のほうが好きなのだという。

他に困った客としては、いきなり肛門性交を挑んでくる初老の日本人や、スパンキング好きのファランなどがいた。スパンキングには割増料金で応じたものの、思ったよりもハードで、しばらくの間お尻がヒリヒリしていた。わずかな割増料金ではわりに合わないと彼女は言った。

 

ケーンの同僚のパットはしばしばお客との〝えっち〟をナマでいたしてしまうことがある。いつもはコンドームを持っているのだが切らしていたり、酔っ払って面倒くさくなったときなど。そもそもコンドームは好きではないらしい。

あるとき、若いファランの客といたしたとき、パットはコンドームを切らしてしまっており、相手も持っていなかったのでそのまましてしまった。

数日後、そのファランから電話があり、「淋病になった。原因はお前以外に考えられない」と言われた。検査してみるとたしかに淋病だったが、いつどこでもらったのかわからない。

 

ケーンのやり方だと、お客の立場で言えば「盛り上がってそういう流れになったんだから、自由恋愛でしょ」なんて意見も出るかと思います。

実際に最近たまたま見たタイブログでは、ブログ主が呼び込みのコにお店で誘われたそうです。逆ナンだと思って喜んで営業終了後に待合せて、することをしたのですが最後にお金を請求されて「騙された!」と怒っていました。

僕だってタイに行き始めの頃ならそう思ったでしょう。でも、疑似恋愛はあくまで疑似。代価をはらわなければならないことを理解しないといけないようです。

 

 

このように、初見の客の素性を見極めるのが難しい以上、長期で関係を続けられるお客はリスク回避という点でもバーガールにとって魅力的な存在です。

信頼できる特定少数の客を上手く回せば、リスクなしに安定した収入を得ることができます。そして、その究極の形が1人の男性に囲われて〝愛人〟となることです。コロナ禍でお客が激減した現在のタイでは、安定した収入をもとめて〝愛人〟がアツいようですが、リスクを避けるという意味でも有効な手段なのです。

〝愛人〟の形態としては、タイ在住の外国人に扶養を受けるのが最も安定性の高いかたちですが、海外在住の客から送金してもらい、彼が来タイしたときだけ関係するパターンもあります。

しかし、〝愛人〟となったバーガールがお客に対してどれだけ貞節を守るかというと、それは当人次第で、他に顧客をキープすることもよくあることです。しかし、それもお客から一方的に関係を清算された場合のリスク回避のためなのです。

 

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【ケース2】

著者が出会ったときメーはナナプラザ1階のバーに入ってまだ2週間のダンサーだった。大柄なスタイルとそれに似合わないあどけなさが人気で、実際まだ自称18歳、店の人間によると16歳ということだった。そのバーで彼女は一番目立つ存在だった。

しかし、一か月もたたないうちに彼女の姿を見なくなった。店のスタッフによると、バンコク在住のファランに仕事を辞めて自分と暮らすように口説かれたのだという。

2か月後、著者がナナプラザ近くの屋台で食事をしていると、偶然メーに会った。

近況をたずねると、彼女はファランから月に50000バーツをもらって一緒に暮らしているという。そのことには不満はないのだが、最近彼の帰宅が遅く退屈らしい。友達を家に呼んだりメールをすることも禁じられているので、友達のいるナナプラザにこっそり遊びに来たのだという。

その後、ナナプラザで何度かメーを見かけたが、半年ほどでぷっつりと見なくなった。

 

 

ここまではゴゴ嬢を含むバーガールが、仕事の上で直面しなければならないリスクと、それを回避するための対策について見てきました。

僕らのような〝買い手〟としても、お店のような場所を介さない〝取引〟には騙されるんじゃないか、何かひどいことをされるんじゃないかという不安はありますよね。

それと同等以上の不安が、彼女たちが初対面のお客と接するときにもある、ということなのです。

このあたりを解きほぐしてあげることは、より楽しいゴーゴーライフへの鍵の一つだと思います。