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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (19) ~〝都合のいい関係〟のケーススタディ~


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『Obsession』(facebookより)

 

 

お気にのゴゴ嬢との関係を続けることは、男性客にとって病気や犯罪被害などのリスクを避ける以外にもメリットはあります。

それは、ゴゴ嬢と〝えっち〟な関係に持ち込むのにも、多少の労力は必要だということです。ゴーゴーに入って良さげなコを物色して〝where you from〟から始めるとなると、〝面倒くさい〟と思ってしまう人は多いのではないでしょうか。

まあ、よりどりみどりの嬢たちに何かとちょっかいを出すのが楽しい、という人も多いとは思いますが、そんな労力を費やしたくない人にとっては、かつて知っている間柄で、なおかつサービスが悪くない嬢をリピートするほうが楽でしょう。

ゴーゴーユーザーは多かれ少なかれこういった意識を持っており、そのことが特定のバーガールとのコミュニケーションを促進しているのだといいます。

 

お金の話で言えば、男性客が理想とするのは、できるだけ少ない支出と労力でバーガールと〝えっち〟に持ち込むということです。

前述のとおり〝えっち〟の単価を大幅にディスカウントすることは不可能です。しかし、支払いなしでバーガールと寝ることは可能です。先に述べたようにバーガールは客との関係が長期化かつ親密化する過程においては、あからさまな金銭的要求を抑える場面が往々にしてあります。そんな局面においては金銭的な支払なしで〝えっち〟してしまうことも珍しくはないのです。

さらに、男性客がバーガールの〝好み〟であり、彼女のボーイフレンド的な立場として認識してもらえれば、最小限の出費でおつきあいすることも可能です。

多くの男性客の〝疑似恋愛脳〟では、バーガールの思惑のいかんにかかわらず、希望的観測をもって、彼女を〝落とした〟と認識します。そしてそのような〝成功体験〟を伝え聞いた周囲の男たちも、バーガールとの長期的関係を志向するようになります。

このように、男性客側の一種の〝錯覚〟によって、本来利害が相反するはずのバーガールと男性客は協調関係を築くことができるのです。

 

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【ケース7】

アキラはバンコク滞在歴1年、現在求職中の20代男性だ。かつてはゴーゴーなどでも派手に遊んでいた彼だが、経済的な事情から最近は控えているという。

彼には4か月ほど関係があるタイ人女性がいる。彼女はソイ・カウボーイで働くゴーゴー嬢で週3回のペースでアキラの部屋を訪れる。アキラが彼女の店に行くことはなく、たまにオフをせがまれたときに顔を出すぐらいだ。

いつもは彼女の仕事が終わった2時~3時ぐらいに「今から行く」と電話があり、ついでに屋台で夜食を買ってきてもらって二人で一緒に食べてから、ベッドにつく。彼女がひどく酔っ払っているときなどは寝かしつけるだけで、いつも〝えっち〟をするわけではない。

アキラは彼女が部屋に来ることについて、お金は払っていない。夜食代とタクシー代として100~200バーツほどを渡すだけだ。ただし、彼女は月に2~3回、小遣いを要求することがあり、アキラは懐具合に応じて1000~3000バーツを渡す。

その程度の出費なら、ゴーゴーなどに遊びに行くことを思えば安いものだと思っている。

その都度の支払いをしないことについて、二人の間で何らかの取り決めがあるわけではない。また、二人はお互いを恋人だと確認し合ったこともない。

しかし、彼女はアキラの部屋に行かない夜も、電話をかけてきて他の女がいるかをチェックしているようだ。アキラ的には彼女のこうした行動は、自分に愛情があるからだと考えている。アキラにとっても確かに彼女は都合のいい相手ではあるが、それ以上の気持ちもある。

だから、アキラとしては現在の彼女との関係を続けたく思っており、そのために他の女の影をさとられてはならないと考えている。実際、アキラは〝浮気〟をすることもあるのだが、ソイ・カウボーイに行くことはないし、〝えっち〟も外で済ませて泊まらずに家に帰るようにしている。そしてそのような慎重な対応をとっている限り、彼女の自分に対する特別待遇は続けてもらえるはずだと信じている。

 

 

上のケースは極めて男性にとって都合のいい関係に思えます。しかし、行間を読んでいくと、バーガール側にもそれなりの経済的なメリットがあることがわかります。

男性側からすれば、タダで〝えっち〟し放題にも思えますが、バーガールは実際には数千バーツの現金をもらい、食事代とタクシー代を浮かせることに成功しています。オフのノルマが危ないときにはオフもしてもらっています。

男性はたしかにゴーゴーで余分なお金を遣う必要はありませんが、別の面でバーガールの機嫌を損ねないように努力もしています。

男性のこのような労力は、バーガールを特別な存在として認識している──疑似恋愛モードにある場合には労力としてはカウントされないという〝マジック〟があるのです。

バーガールはこの習性を利用して男性が自分に都合の良い行動をとるように誘導するのだといいます。

二人の関係はバーガール主導で、彼女の都合の良い時間にのみ行われている点も注目です。彼女にとって、男性とのつきあいは何ら負担になるところのない範囲で行われているのです。もちろん彼女の側も気持ちの部分はあるとは思いますが、リスクも負っていないというところが大きなポイントです。男性側が想像する以上に彼女たちはシビアに損得勘定をしているのです。

 

こういうふうに書いてしまうと「ツルーラブなんてマボロシなの?」とか思っていまいがちですが、著者によるとそんなこともないようです。基本は顔が嬢の好みだった場合などが多いようですが、リピートされるうちに情が移ることもあるようです。

個人的には向こうも人間なんだから、そこまできっちり計算ずくで行動してるなんて思えませんけど。どちらかというと、本能だけで生きているやつの方が多いような。

でも、そんな〝本能〟の中にいろいろな計算式が、本人も気づかない意識下にインプットされているのかも知れませんね。