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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (21)~友人たちの連携プレイ~


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『BUTTERFLIES』(HPより)

 

 

ゴゴ嬢の交友関係は職場とプライベートの境界があいまいな友人関係が多い、という例を先日見ました。

こういった友人関係のもとでは、お互い各々の仕事にプラスになるように協力することが多くなります。これはもちろん友人としての行動ですが、同時に経済的にプラスになるから、という理由もあるのです。

多くのバーガールの場合、友人がうまく上客をゲトして良い稼ぎを得ると自分にもそのうちのいくらかの恩恵を期待できます。

なぜなら、彼女たちの行動規範において「気前が良い」ということはとても良いことだとされています。だから臨時収入を得たバーガールは食事をおごるなど周囲にふるまうことが暗黙の了解となっており、ふるまうほうの当人もそれを当然と考えています。別の機会には自分がおごってもらう立場になることもあるので、基本的には長い目で見ると損得はなくなる理屈です。

このような自然発生的な相互扶助システムは、収入の上下の激しいバーガールにとってはセーフティネットの役割を果たしています。

 

このような背景から、自分の友人がお客につくと一緒にその場を盛り上げたり、客が友人をペイバーするように勧めたりもするのです。そこには当然ドリンクやチップのおこぼれへの期待もあるし、お客から〝お気にの親友〟として認められれば、なにがしかのチャンスもあるのです。

 

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【ケース9】

ナムフォンはソイ・カウボーイの店に勤めるゴゴ嬢だ。コンケーン出身の27歳で現在は恋人とバンコクで二人暮らしをしている。

ナムフォンにはぺーという親友がいる。同じコンケーン出身の24歳で、やはりナムフォンのアパートの近くにタイ麺の恋人と住んでいる。ペーは背が高く、スタイルも良いので頻繁に客からオフされる。さらに海外から送金してくれる客も複数いるようで、金回りはいい。

2人は知り合って4年で以前は部屋をシェアして一緒に住んでいたこともある。今でも互いの部屋を行き来するだけでなく、店への行き帰りも一緒だ。

店内でペーが客についているときは、なるべくナムフォンもドリンクをおごってもらえるように水を向ける。客と遊びに行くときも、できるだけナムフォンも一緒に行けるようにする。気前のいいお客だとナムフォンのぶんもペイバー料を払って連れて行ってくれることもある。

ぺーはたくさんお客を抱えているので、お客同士がバッティングすることもしばしばある。あらかじめナムフォンを紹介しておくことで、そんなときにナムフォンが代わりに一方のお客につくことができるのだ。

その間に客はナムフォンにペーの私生活について、あれこれ聞き出そうとすることもあるのだが、ナムフォンは「彼女には恋人はいないし、とくにパトロンもいない」と答える。「ぺーは性格の良いコだし私は一緒に住んでいる」と言うこともある。客がぺーの(タイ麺と住んでいる)アパートに押しかけようとするのをけん制するためだ。

ぺーは嫉妬深い客の機嫌を取るために、頻繁に嘘をついているのだが、それに口裏を合わせてやるのがナムフォンの仕事なのだ。客にオフされたあとに常連が来たら「体調が悪くて帰った」と言ったり、ペーが店でお客と盛り上がっているときに他の客から電話が入ると、ナムフォンが代わりに出て適当に受け答えをしたりもする。

ペーは自分の客にナムフォンを紹介するときに、「姉だ」という言い方をしている(タイ人は親友をそのように人に紹介することがある)。客にナムフォンが自分の代理のように振る舞うことが不自然でないように思わせるための手だ。

ナムフォンも心得たもので、自分が先に知り合った客でも自分に興味がなさそうだと、ペーのことを「妹だ」と言って斡旋することもあるのだ。

 

 

このようなバーガールどうしの関係は、個人とそれを取り巻く親しい友人たち何人かの間にとどまっています。ゴーゴーの店内はこうした小さな人間関係のグループがたくさん乱立しており、これらのグループが一致団結して労働組合のような公的な組織に発展することはないし、インフォーマルな状態のまま店を〝シメる〟ような存在になることもありません。

それは、ゴーゴーバーという空間ではバーガールの出入りはきわめて激しく不安定であり、長期間在籍する者でも年を重ねるごとに存在が薄くなる傾向にあるからだと著者は分析しています。

 

胸にてを当てて考えてみると、ありますね。

ゴーゴーに行ったらお気にがいなくて、その友達が「彼女は今日は休みなの」とか言ってしゃしゃり出てきたので、仕方なく彼女を席につけて飲む──みたいな。

あれは嘘だったのかなあ。ああいうふうに言われたことって全部信じてきたんだけどなあ。

今度からは「こういう裏があるかも」と猜疑心に駆られることになりそう。

まあ、そんな諸事情も飲み込んでスマートに遊びたいものです。