前回まではバーガール間の友好と仕事面での協力関係について見てきました。
sしかし、バーガール同士の親しい関係は本人とその周囲数人といった狭い範囲のものです。ゴーゴーバー全体から見るとバーガールたちは互いにライバル関係にある、という側面のほうがむしろ大きいでしょう。
バーガールとして店に入れば、仲間同士であると同時に限られた数の客を奪い合うライバルという関係となるのです。
ゴーゴーバーにやってきた客はバーガルと話す前に、先ず不特定多数の候補の中から一人を選ばなければなりません。
バザールの取引では買い手は売り手との価格交渉や過去の取引での信頼関係をもとに行動します。しかしゴーゴーの場合はその段階に至る前に買い手である客が交渉相手を選ぶことができる、という点で異なっているのです。
男性客はおおむね自分の好みの容姿をした女のコと話したいと思っています。
〝見ているだけが一番いい〟という僕のような変態はおいておきますw
誰でもいいからランダムに女のコを選んで値段の交渉をおっぱじめる人はいないでしょう。女のコの性格や払うお金を気にするのは、まず誰かを選んでからの話です。
多くの男性客はバーガールの〝見た目〟にこだわるでしょう。顔立ちの良さやプロポーションといった容姿、そして若さなどといった要素が、この際の選択にはおおいに重要になります。
さらに見た目だけではわからない性格やサービスの良さといったものも重要です。いくら見た目が良くても、性格が悪かったりマグロだったりしたらその夜の思い出は台無しです。だから、容姿が同じ程度の二人であれば、性格のいい女のコのほうが選ばれる、ということです。
客が満足するためには、容姿・若さなど見た目の魅力と目では見えない要素の二つとも必要不可欠なのです。
しかし、実際にはお客がたくさんのバーガールの中から一人を選ぶときには主に視覚による第一印象から決まっていまいます。従って女性たちは〝見た目〟での競争を強いられることとなります。
個々のバーガールの〝容姿〟は顔だけでなくその肌もあらわなゴーゴーのコスチュームゆえにプロポーションまでも一目瞭然になっています。容姿に関する情報は男性客に充分に与えられていることになるために、〝容姿の美しい〟女性に男性客と取引を行う機会が集中することになるのです。そして〝容姿〟が評価されなかった女のコは〝売れ残る〟可能性が高くなります。
そして、これまで何度か述べたように、価格面での競争があまりできないために、〝容姿〟をめぐる競争はより激しくなるのです。
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【ケース10】
ゴップはナナプラザの中規模店で働いている。22歳で一人娘を故郷である東北のマハーサラカムに置いてきている。彼女は色黒でエキゾチックな容姿だったため、客層の多くはファランだったが、明るい性格だったので週に2回ほどはペイバーされていた。
ゴップには月に2~3回のペースで店に会いに来てくれる日本人の客がいた。その男性は正確にはゴップの客ではなく、前の店でゴップの友人の客だったことから友人としての付き合いが続いていたのだ。
彼がゴップの店に顔を出すのは彼女目当てに通っているというわけではなく、つき合いで顔を出す、といった程度の意味合いであり、ゴップもそれは理解していて一線を越えるつもりはない、と周囲にも語っていた。
ある日、ゴップの友人のオイが他の店から移ってきた。オイは色白で可愛らしい容姿をしていた。彼女は白人は嫌いだと公言して日本人や東アジア系の客しか相手にしなかったが、著者が店を訪れる時間帯にはたいてい既にペイバーされていたという。
ゴップとオイが連れ立って同じ客に話しかけても、客はオイに興味を示す。ゴップは自分とオイの人気の差を顔立ちやスタイル、肌の色からくるものだと考えていた。
ゴップがいうには自分は胸の大きさは負けていないのだが、お腹のたるみが問題なのだというが著者は顔立ちが原因だと思ったという。
ゴップは店で新規の客と接するときは、オイと競合しないように意識していた。2~3人連れの客なら、オイと組めば自分にもオフのチャンスが巡って来ることもあるが、一人の客だとオイにもっていかれてしまう。件の日本人客もゴップは彼がオイと接触しないように気を配っていた(オイはたいていペイバーされて店にいなかったのだが)。
しかし、ある晩店で盛り上がった彼とオイを交えた数人が、閉店後にゴップの部屋で飲むことになってしまった。部屋で飲み明かして明け方近くになると、皆家へ帰って行き、ゴップとオイ、日本人男性の3人が雑魚寝する流れになった。
著者が数日後に聞いたところによると、自分が寝ている隣でオイと日本人男性がいちゃつきだした、といって怒っていた。ゴップも寝つけなかったのだが、二人がおっぱじめてしまったため、寝たフリをしていたのだという。
この事件を機にゴップはダイエットをすると宣言したのだが、その後とくに効果は出ていないようだ。
このような環境によってバーガールは自分の容姿にきわめて関心を持つようになるのです。店内では同じコスチュームという制約があるため、髪形やアクセサリーなどに気を配り、果てはタトゥーを入れてみたりもします。顔は整形、ボディラインは豊胸手術や脂肪吸引などをしてより美しい容姿を手に入れようとするのです。
彼女たちは営業時間中、鏡張りのステージで自らの身体と同僚のそれとの違いをさんざん目にしているため、自分の容姿に対してはシビアにならざるをえないのだといいます。
まあ、たしかにゴーゴーに行くと「このコ、ペイバーされることなんてあるんだろうか」っていうようなゴゴ嬢から、いつもペイバーされてほとんど見ない〝幻のゴゴ嬢〟まで幅広いラインナップですもんね。みんな同じように稼がせるのは無理ゲーでしょう。
それでもみんな胸を膨らませたり、鼻を高くしたりといろいろ頑張っているみたいです。昔と比べて偽乳めっちゃ増えている気がします。
まあ、観ているぶんには見栄えはいいんですけどね。