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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (24) ~バーガールの〝情〟~


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『Angelwitch』(DAVE THE RAVE BANGKOK より)

 

 

ゴゴ嬢にもっとも要求されるのは容姿であり、ルックスの良さを基準とした競争を建前としてゴーゴーバーが成り立っているという事実は、バーガールたちにさらなるリスクを負わせます。

以前に本書から学んだバーガールのリスクは、男性客との関係においてのみ起こる事象でしたが、それとは異なるリスクです。それはすなわち、十分な収入を得られるだけの数・質の客をつかめないというものです。

これまでにも何回か登場したアメリカの史学者であり経済学者・コーエンさんの説によると、「他のタイにおける地下経済セクターと同様に、観光客志向の売春においても供給が需要を上回っている」といいます。それゆえにセックスワーカーたちの収入はブレが多く、さらには偶然に左右される要素が多いといいます。

ゴーゴーバーもその例に漏れないようです。ゴーゴーには訪れる客こそ多いものの、ペイバーする客はその一部です。さらに、お客の多くは何軒かの店をハシゴするのが常ですから、ペイバーされるバーガールはより限られてしまいます。

従って午前2時の閉店時間を過ぎても〝売れ残っちゃってる〟多数のバーガールの姿を見ることとなるのです。

また、十分に容姿の優れたコは、ぶっちゃけゴーゴーよりも条件の良い高収入案件を選択することが可能なんだそうで、ゴーゴーには若くて美しい女のコはあまり多くはないのだと著者は言っています。

僕はゴーゴー以外はあまり知らないのでそこのところ、あまり実感がないです。そうなんですねえ。

従ってゴーゴーでは特定の嬢に需要が集中するため、多くのバーガールにとっていざというときの〝キープ〟を確保しておくことは収入の安定のためには必須だと言えます。

定期的にお手当をくれるような愛人とまではいかなくとも、気軽に電話で連絡をとり合える顧客を持つことは非常に重要なのです。

実際にどれくらいのバーガールがまめにそんなことをしているかは疑問ではありますが。

 

 

【ケース11】

ランはソイ・カウボーイで働くバーガール。子供をナコンパトムの親の元に預けてバンコクへやってきた24歳だ。

バーガールとして働きだした当初は持ち前の愛嬌とスタイルの良さで人気があった。著者が昔、給与明細を見せてもらったときは月に22回もペイバーされていた。

しかし、アルコール依存の気があり、ほぼ毎日泥酔するまで飲んでいるようで、日を追うごとに仕事に影響が出てきていた。二日酔いで接客にまったく身が入らず、見た目もアルコールのせいで劣化して、あまり声がかからなくなっていた。

彼女の収入は劇的に落ち込んでいたが、生活態度を改めることはできなかった。

そこで彼女が頼ったのが、以前からの知り合いだったフランス人客だった。

彼はバンコクで働いており、かつてはランが仕事帰りに彼のアパートへ週に2~3回通う仲だった(その間、とくに代価は要求していなかったという)。

二人の関係は男が他のバーガールに浮気したために破綻していた。原因の一つにはランのアルコール依存もあったようだ。

しかしランは時おり男性と連絡をとっては部屋を訪ね、〝えっち〟をするしないに関わらず、そのたびお金をせびっていた。男性も良い顔はしないものの、お金をくれたという。

やがて男性は帰国することになったのだが、以後も2~3か月に1度のペースでタイを訪れる予定なのだという。

そこでランは一つの提案をした。ランの名前でアパートを借りて男性の支払いでキープしておき、男性がバンコクを訪れる際にはそこに滞在するというものだ。普段はランはその部屋に住みこんで管理する。

ランが見つけてきた部屋が家賃4000バーツだったので、男性としてもホテル代を考えれば悪い話ではなかったようで話はまとまった。

ランはうまいこと月々の家賃を浮かせることに成功したのだ。

 

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このケースでは店内での需要が少なくなったバーガールが特定の顧客との関係を強化することで生活基盤の一部を安定化することができた例です。

以前は高回転戦略寄りの自在戦略をとっていたバーガールが、自身の市場価値の減退に応じて、選択と集中戦略寄りにシフトした例だといえるでしょう。

このケースでバーガールとフランス人客の関係は、ビジネスライクなものではなく、きわめて感情に訴える部分の大きなものだと言えるでしょう。

かつてはお金は関係なしにバーガールは男性のアパートに通い、男性も〝えっち〟関係なしにお金を渡していたわけですから。単なるセックスワーカーと客を超えた関係であったことを互いに了承していたと推察されます。

このようなケースでバーガールが男性客の心をつかむためには、計算ずくの接客技術だけでは必ずしも十分ではないのだと著者は主張しています。

アルコール依存でやる気のなくなったバーガールがこの男性にだけ素晴らしい接客をしたとは考えにくいです。むしろ性格的に気が合ったり、長い間に情が移ってしまったというのが正直なところではないでしょうか。

 

 

それを〝愛〟と呼んでもいいですかw

これまではあまり〝気持ち〟による行動原理には触れずに損得ずくの計算による行動ばかりが強調されてきましたが、そこには正直違和感もありました。

ほぼ目先のことしか考えていないように見える彼女たちに、そこまでクレバーな立ち居振る舞いができるかというのははなはだ疑問だったのです。

本能的にリスクを軽減して効率的に収集を得ることを実践していても、やっぱり目先のあれやこれやが彼女らの行動を左右しているんではないかと、元Pin-up嬢からのLINEを見ては思ったりしております。