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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (28) ~ゴゴ嬢は憧れの職業?(前編)~


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ここも閉店?『DC-10』((http://www.bangkok-infoguide.comより)

 

 

故郷を離れてバンコクで働くゴゴ嬢たちは、故郷と決別しているわけではありません。

毎月送金している者も少なからずいる(著者の見立てではゴゴ嬢の半数以上が子持ちだといいます)し、ソンクランともなれば帰郷します。経済的に余裕があるコは手土産に家電製品を買っていったり、金のアクセサリーを身に着け、〝錦を飾る〟のです。

 

また、バンコクや海外で成功したセックスワーカーの多くは農民たちには手の届かないコンクリート造りの家を建てます。このような帰郷者たちの姿を見て、地方の農民たちはさらに物質的欲望をかき立てられることは過去の研究でリポートされています。

 

このような成功体験を通じて、バーガールたちは社会的な力を得ている、という指摘もあります。アメリカの女流作家・オジェールは「一般的に言って、パッポンの売春婦たちは売春婦でないタイ人女性よりも多くの自立性と機会を持っている」と言いました。

それは言い過ぎだろうと著者は言っていますが、その一方で「少なからぬ数のバーガールたちが男性客のみならずタイ人男性の夫や恋人に対しても大きな発言力を持ち、行動するにあたって自らの意思による決断を優先する」と言っています。

バーガールとして得た高収入が経済的自立を与え、男性への従属に甘んじないで済むような機会を与えているのは間違いなさそうです。

 

 

一般的な若い女性と同様に、ゴゴ嬢たちもファッションと異性に関しては大きな関心を持っています。日々の服装やメイクは客に対するアピールというよりは、自分の好みに基づいている場合が多いです。ゴゴ嬢たちの洋服、化粧品、アクセサリーへの購買意欲は強く、これがおカネが欲しくなる動機となっている例は多そうです。

 

また、美しく装うことはより〝好ましい客〟をゲトするためには有効です。この場合の〝好ましい客〟とは、気前がいい客であることはもちろん、容姿が好みというのも含まれています。もう一つの高額アイテムである携帯電話も、そんな客と連絡をとるためには欠かせません。このようにゴゴ嬢の消費行動は仕事とプライベートでの目的がごっちゃになっていて、それは前述したように環境的にも仕事とプライベートの境界があいまいなゴーゴーバーならではの特色とも言えそうです。

 

金銭的、物質的な欲望によるタイ女性たちの関心は、単なる物の購入と消費だけにとどまりません。農村の人々が都会生活に思い描く現代性や華やかさへの憧憬も、関心事となっていることは過去の研究でもすでに指摘されています。

さまざまな消費財を購入することは、従来のライフスタイルの変革をも意味しています。若者たちにとっての先進的なスタイルはテレビなどのメディアで流される富裕層の生活やCMであり、ひいてはバンコクでの消費生活ということになるのです。そんな生活に触れてみたいという関心が、地方の若者の上京を後押ししています。

 

そんな若者たちの認識の中で、バーガールという職場環境は煌びやかなライトとポップミュージックに彩られたきわめて現代的なものと言えます。メディア越しではなく外国人と話したり、価値観に触れることは、ある意味では先進的であり、憧れでもあるのです。そして、最新のあか抜けたファッションで着飾り、携帯を持ち、ディスコやプールバーで夜遊びをすることが仕事の一部であること、複数の外国人とセックスを楽しむほどに性的に自由であることは、現代的な行動スタイルと見なされることもあるのです。

もちろん、道徳的には好ましくないし、ダークサイドも多々ありますが、バーガールという仕事には魅力があるのです。

 

 

この項、長くなりそうなのでここでいったん切ります。

何年か前に女の子が憧れる職業ランキングでキャバ嬢がランクインして話題になったことがあったように思いますが、あれみたいなもんでしょうかねえ。

しかし、僕のように知り合いのタイ人の中における風俗関係者率がきわめて高い人間が想像しているのよりも、遥かに一般的なタイの人たちはえっちなものに関して保守的なような気がします。

日本では大卒の風俗嬢なんて珍しくもないけど、ゴゴ嬢には皆無だという現状に、そんな保守性やセックスワークへの偏見を感じます。まあ、まず進学率が全然違うってのもあるんでしょうけど。

コヨーテのような超高級風俗(いわゆる風俗ではないけど)に行けば、また話は違うんでしょうか。行かなければ。