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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (35) ~バーガールと客の関係③短期の愛人関係~ 


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『Crazy House』(facebookより) これ、系列店のコかも。位置的に『Cockatoo』だし。

 

 

カネへの執着度と愛情の度合いから導かれるバーガールと客の関係。3つめはカネも欲しいし客を男としても興味があるという〝短期の愛人関係〟です。

 

【ケース18】

ポムはナナプラザで働き始めて10か月。17歳だが色白で華奢なため、かなりのロリ系だが可愛いと日中韓の顧客から大人気だ。ポム自身も自分の価値はわかっているので2000バーツ以下(当時の相場は1500)のオファーに応じることはない。

ある日、ポムは店で若い日本人の客と出会った。マサルという大学を出たばかりの男性でアジア周遊の一か国めとしてバンコクに来てゴーゴーにハマったようだ。

マサルの両親は裕福で彼が半年から1年ぐらいは旅して暮らせるだけのお金を与えていた。

彼がポムに出会ったのは、ナナプラザに通い始めて数日後で、マサルはポムを一目で気に入り、即ペイバーした。その日以来、マサルはポムに魅了されてしまった。ポムは彼に毎日店に来て自分をペイバーするように要求し、さらには洋服、化粧品、バッグ、靴、ついには大きなぬいぐるみまでねだって買ってもらった。

そのような毎日がしばらく続くと、ポムはマサルが他のバーガールと〝浮気〟をするのではないかと恐れるようになった。マサルは気前が良く、若くてルックスも良かったからだ。ポムはマサルに常に自分と一緒にいるように要求し、生活も共にした。マサルの側のポムへの愛情もはたでみていてなかなかのものだったという。

ポムは一日中マサルといたがったが、店の友人たちとも会いたかった。ポムが毎日出勤するので、マサルも店に行き、彼女の同僚たちに一杯おごってから二人で店を出る、というのがルーティーンとなっていた。

しかし、マサルの両親が息子がずっとバンコクに入り浸っていることに疑念を抱いたようで送金をしてくれなくなった。

マサルの手持ちの金はたちまち底をつき、それとともにポムとの仲も冷えていった。やがて日本に帰国し、新しいガールフレンドもできたらしい。ポムはその後も店で働き続け〝ジャパニーズ・キラー〟として常連の日本人客の間ではちょっと知られる存在だ。

 

 

このケースではバーガールは男性客に強い愛着を持ち、一見恋人のようにふるまっている。この愛着は恋愛感情と友愛感情とどっちつかずのもので、愛着の性質は相手の客に異性としてどれだけの魅力があるか(または逆にないか)と、経済的な保護者としてどれだけ信頼がおけるかによって変化します。さらに、付き合いの長さによって愛着が増すこともあります。また、カネをどれだけ引っ張るかは彼女が日ごろ意識している経済的リターンや相手のカネ離れの良し悪し、現時点でカネに困っているかどうかで変化するのです。

 

〝愛人的関係〟では、相手に対してどれだけ愛情があろうと、あからさまに経済的援助を要求する傾向があります。男性からの経済的援助は現金の場合もあれば、買い物や遊興費の負担などさまざまです。額面を指定してしばしば高額のカネを要求する場合もあり、その場合は〝えっち〟は一回ごとの精算にはならないようです。サブスクですね。

この要求の総額が一回ごとに精算した場合よりも高くつくこともあります。

女性の側は男性が他のバーガールと関係を持つことを禁じます。ケーススタディの中で、わざわざ毎日男を店に来させては同僚に酒を振舞わせるのも、周囲に自分たちの特別な関係を誇示しているといえます。プレゼントの要求も愛情確認という意味合いをもっていることがあるといいます。

男性の側からすれば、このような支出はその女性との特別な関係を維持するための投資だといえるでしょう。男のほうが立場が弱い場合だと、いかにもカネでつなぎ留めている感じになります。逆にバーガールに対して強い愛着がなければ、ドライに付き合うことができます。いずれにせよ、男性が金銭的な負担を重く感じるようになったときにこの関係は終わるのです。

このケースのような関係は前章で見た客の「カネ離れの良さと接触の多さから導かれる4つの戦略チャート」では多角化戦略に基づく行動に見えます。しかし、一見カネ払いの良い客に対する計算づくの合理的な行動に見えて、その動機に相手への愛着が大きな影響を与えている場合もあるのです。一見、非合理に見えるゴゴ嬢たちの日常の行動が経済的な利得を生んでいることもあるのだと著者は言っています。

 

一見無差別に見えるおねだりは愛情確認? ことごとく却下している僕は愛情がない男なんでしょうか。