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『ゴーゴーバーの経営人類学』を読む (40) ~惚れられることで変わるもの・ゴゴ嬢の場合~


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『MIDNAITE』ここもなんちゃってコヨーテ。ぼったくり注意。(facebookより)

 

 

ゴーゴー好きな男性客の多くはゴゴ嬢にとって自分が特別な存在であるのではないかと期待しつつ足しげく店に通うというのが著者の主張するところでした。

では、ゴゴ嬢側はどうでしょうか?バーガールの側にとっても、長期間にわたって顧客関係が続く理由の一つは相手の異性としての魅力であることが少なくないようです。

基本的にはゴゴ嬢はカネへの執着に基づいて行動しているので、男性客のルックス等々について妥協している場合が多々あるようです。しかし、関係が長くなれば情が移って本気になってしまうこともあります。

もちろん関係が長いからといって、ゴゴ嬢みんなが男性客を好きなのかというと、そんなことはないのですが、逆に嫌いなのに関係が長く続くこともちょっと想像しがたい。これまでに何度か書いていますが、ゴゴ嬢は仕事に対してのプロフェッショナル意識が希薄であり、その行動はとても自由なのでカネの損得度外視で行動することもある、ということなのです。

 

ゴゴ嬢の中には、客に選ばれることによって自分の価値に気付く、といったケースも多いようです。自分に自信のなかったバーガールが、自分に対して好意を持ってくれる顧客と出会うことで、客観的に見た自分の魅力を再確認することもあるのだとか。

 

【ケース22】

ニンはナナプラザで働き始めて3か月になるが、一度もペイバーされたことがないという。31歳の彼女は夫に逃げられ、二人の子供を郷里に残してバンコクへ出てきたが客がまったく取れないため、月収は5000バーツほどにしかならなかった。

すっかり自信を失った彼女は著者に今度の給料をもらったら、店を辞めると宣言した。友人からメイドの仕事を紹介してもらうのだと言う。給料は今よりも安くなるが、住居と食事が付くので仕送りは多くなるはずだと言った。

給料日が過ぎたころ、著者が再びそのバーを訪れると、ニンは辞めていなかった。ペイバーしてくれる白人の客がついたのだという。

「ここでがんばるほうがメイドになるよりもいいような気がする。ところでコーラ1杯頼んでいい?」

ニンが著者にコーラをねだるのは初めてだった。初めて自分を買ってくれた客と出会って、彼女は以前よりも仕事に積極的になったように見えた。

 

 

上記はお客がついたことで仕事に前向きになれたというケースですが、フツーのキャリアウーマンと違ってバーガールの場合はこのような成功体験も必ずしも世間一般からポジティブに受け容れられているわけではありません。一般的なタイ人の道徳基準からするとセックスワーカーは道徳的に好ましい職業ではないからです。

ゴゴ嬢たちの経済的なサクセスや都会風のイケてるファッションなどは田舎の人々から羨望のまなざしで見られることは事実ですが、それでもやはり彼女たちの一部は実家の両親に自分の職業を正直に言っていなかったりすることも多いのです。

 

田舎から出て来たばかりの〝美人すぎるウェイトレス〟ってたまにいますよね。年のころは18歳ぐらいでしょうか。

観察していると、やがて時々ペイバーされるようになって化粧がどんどん濃くなっていったと思ったら、いつの間にかゴゴ嬢になっていて、酒のせいか腫れぼったい顔をしていることもよく見かけるようになり、さらに次に来たときには店からいなくなっているパターン。この間半年ぐらい。そんなコを何人見送ってきたことか。

自身の価値に気付く、ということは、必ずしも本人の幸せと直結しているとは限らない気がするのです。