07年ごろのはなし。今日も今日とてR3で馬鹿飲みしていた僕。女のコをペイバーしてどうこうという気力もお金もないのに、ナンから「昨日約束したでしょ」と詰め寄られ、しぶしぶペイバーする羽目に。
もちろん、ホテルでやることやろうなんてつもりは毛頭ありません。しかし、当然ながらナンはやる気満々です。そこでビッグ・ファット・ママが「ご飯でも食べに行けば?」と助け船を出してくれました。
チェックビンして大福帳みたいになった伝票の束をお会計に出して、ナンともう一人、友達の女のコを連れて、食事へ出かけました。ペイバーされた後戻って来て店で私服姿のままウロウロしていたコです
ナンの私服姿はTシャツにジーンズといたってシンプルでした。でも、脚が長いので地味なジーンズ姿が逆にカッコイイです。
二人の女のコに食べたいものはあるか、と聞くと「アップトゥユー」が炸裂したので出来るだけ労力を遣わずに行けるNANAHOTELのレストランへ。
もう足元がけっこうヤバいです。酔いで元気な時間帯は過ぎ去ってそろそろ力尽きて眠りにつく頃合い。こうやって起きて活動しているだけでも褒めてやってほしいぐらいです。誰も褒めてくれませんけど。
僕はエッグバーガーを注文し、女子二人はメニューにないぶっかけ飯のようなものを注文しました。いちおうビールも頼みましたが、さすがに飲む気はしません。
しばらくして、運ばれてきたエッグバーガーを見て、僕は少し気が遠くなってしまいました。いわゆる〝ナナバーガー〟的なボリュームのものを予想していたのですが、一回りでけえ。しかも付け合わせにフレンチフライが親の仇のように山盛りになっています。(これは……吐くかも)しかし、女子二人を目の前にして負けるわけにはいきません。僕はハンバーガーの皿に苦しい戦いを挑み始めました。
女子二人が注文した皿も運ばれてきました。こちらは僕の皿のようにアホみたいなボリュームがあるわけではなく、普通の量です。しかし……、何だか女子たちの様子がおかしい。スプーンとフォークで料理をいたずらにかき混ぜるのみで、なかなか食が進んでいないのです。
「美味しくないの?」とナンにきくと首を振ります。
「お腹減ってないの?」と聞いてみると「あんまり減ってない」と言うのです。
隣にいる友達もうんうんと同意しています。
なにい~~~~ッ
そんなことを言われると僕だって全然お腹は空いていないんです。つまり、ここでテーブルを囲んでいる3人が3人とも食べたくないと。だったら、この時間は何?誰のための何のセレモニー?
僕は死にそうになりながら何とかエッグバーガーをやっつけましたが、女のコたちは半分以上料理を残してました。
店を出てHOTELのロビーで二人とお別れです。
じゃあ……と手を振ると、ナンは何も言わずに下を向いていました。そして数秒の沈黙の後、「オーケー、………バイ」と下を向いたまま、僕と目を合わせることなく踵を返し、つかつかと帰って行きました。少し慌てた様子でそれを追う友達。
あれ、何か怒ってる?
部屋まで連れて行かなかったからか、チップを渡さなかったからか。
当時はペイバーして食事やどこかに遊びに行った場合は遊び代は当然出すけどチップはフツーに出していなかったんですよねえ。
部屋に帰って、僕はナンが怒った原因を考えてもんもんとしていました。
しかし、泥酔していたのですぐに意識を亡くしてしまいました。
(続く)