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けいこの夢は昼下がりにひらく(1)


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待ち合わせはドンキ。(https://joho.st/tokyo/shinjuku/kabukicho.phpより)

 

 

PJけいこさん(36)と3回目の待ち合わせ。

この日も雨が降っていました。たしか前回も雨じゃなかったっけ。

彼女が指定した時間は11時。バイアグラの飲み合わせが難しい時間です。

前回、別のPJとホテルデートしたときにしくじっているので、今日はかなり慎重になっています。フツーの時間に朝ごはんを食べるとおそらく効かないのではないかと思い、いつもより早起きして1時間早く朝ごはんを食べてきました。

1人暮らしだったら、食べなきゃいいだけなんですけどね。

 

そして、待ち合わせの前にやっておくことがあったので、待ち合わせ場所の歌舞伎町のドン・キホーテ前には30分前に到着しました。

本来ならば15分前ぐらいで大丈夫なんですが、けいこさん、早く来そうなので。

用事は思いのほか早く終わったので近くの小さな神社に行って煙草を喫っているとLINEが入ります。

「早く着いちゃったので近くで雨宿りしてますね」

時計を見ると15分前──。予想通りです。早めに来ていてよかった。

ドンキの前に戻って「着いたよ」とLINEすると3分後ぐらいに大ガードの方向からけいこさんが歩いて来ました。ジャケットに胸が大きめに開いた淡いグリーンのワンピース、足元はピンヒールという昼間にしては艶っぽめな姿です。

「相変わらず早いですね」と声をかけると、

「……ゴーゴーさんに早く会いたくて……。」と、いつもの消えてしまいそうなウィスパーボイス。聞き耳を立てないと逃してしまいそうです。

 

この日、実は僕は午後から仕事が入っていてあまり時間がありませんでした。

なので「ホテル直行でいいですか?」と聞くと、

「……お腹減ってないですか?」と言います。薬を飲んでいるのでどうせ僕は食べられないんですが、けいこさんはおそらくこの時間はお腹が減っている人なんですよね。

「お腹減ってます?」

「……でも、時間があまりないんですよね?コンビニで何か買っていきましょうか?」

「いいですよ」

「ゴーゴーさんも買いますよね?」あまり買いたくないんだけどな。でも、買わないと言うと、じゃあいいです、申し訳ないから、とか言いそうなので、

「うん……。じゃあ飲み物とサンドイッチぐらい買おうかな」

そういうと、けいこさんは少し嬉しそうに「はい。じゃあ、行きましょう」とほのかに微笑みました。

 

いつの間にか雨は止んでいましたが、けいこさんは傘をさしていて、ときおり吹く強めの風に傘を持って行かれそうになってふらふらしています。

「風、強いですね」

「もう、雨、止んでいるんじゃないかな」僕はすでにドンキの前から傘をさしていないんですけど。あっ、そこにコンビニあるよ。

「コンビニはどこが好きですか」と、けいこさんは僕の目をじっと見つめます。

「うーん……。一番好きなのはセブンかなあ」

目の前のコンビニはあいにくファミマでした。

「じゃあ、セブンに行きましょう」

「えっ、でもこのへんにセブンあったっけ?」

「私、知ってます」

けいこさんはそういうと僕にまっすぐ歩くように促します。

しばらくまっすぐ歩いて東宝のゴジラビルに入っていくと、はたしてセブンがありました。歌舞伎町、詳しいんだね。

「前に映画を観に来たんで……」

 

セブンに入って飲み物コーナーでお茶を、お弁当コーナーからツナとタマゴのサンドイッチを取ってカゴに入れると、けいこさんはお弁当コーナーで固まっています。

しばらく熟考して手に取ったのはハンバーグ&ピラフ弁当。けっこうがっつりいくのね。やっぱり相当お腹減ってたんだ。

「飲み物はいいの?」と聞くとすたすたとレジ前のドリンク剤コーナーへ。何を選ぶのかと思ったら、パウチに入ったエナジーゼリーでした。それ、飲み物なの?

さらにニッと笑みを浮かべてこんなセリフを吐くのでした。

「元気になるやつ、買わなくていいんですか?」

うーん。今飲んだって効かないっしょ。ってか、そんなに頑張らせる気なの?(汗)

 

店を出るとけいこさんは僕の手をしっぽりと握ってきます。傘はもういいんだね。

ハイジアの前の通りを横切ると、ホテル街が見えてきました。

(続く)

 

 

 

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