11時50分。いつもなら女のコもかなり連れ出されてしまって店内は寂しくなってくるところですが、今日はさすがに大みそかなので、店内は依然大盛りあがりです。
僕は、新年のカウントダウンをこの店で迎えて、それからしばらくしたら店を出ようと決めていました。
実は、この日は旅行の最終日。早朝の飛行機で日本に帰らなければなりません。
4時にはホテルをチェックアウトしたいところ。荷造りもしてないし。
そう、このあとのスケジュールはけっこう巻きが入ってます。
後輩ズ3名のうちの1人は、すでに気に入った女のコと店をあとにしました。
残る2人、連れD君とO君もそれぞれが指名したコといい感じになっています。
僕も、シャーデーを連れ出す約束をして、すでに店に連れ出し料を払っていました。
このあとどうするかについては、シャーデーとの間で、ここまでまったく話題にしてないんだけど。どうなることやら。
すると、D君がドリンクのお代わりを頼もうとしたのを、 チェックと勘違いしたウェイターが、伝票を持って行ってしまったようです。
慌ててウェイターを呼び止めようとするD君。しかし、 僕はどうせもうすぐチェックするつもりだったので止めました。
今思えばそれが大間違い。チェックさせる前に伝票を今一度確認しておくべきでした。
しばらくしてウェイターが持ってきた勘定は、なんと8870バーツ!
単純計算で、ドリンク1杯100バーツだったとしても80以上杯飲んだ勘定です。
一番長時間、しかも大量に飲んでる僕でもビール10本ぐらい。
あとの面子はほぼ飲めない連中だし、 たかってきたスタッフやダンサーも2杯以上飲んだのは2~3人です。
だから僕の計算では高くても4000バーツ弱でした。8000なんかになるわけがない。
伝票を持ってこさせて調べます。
でも、ちゃんと80数枚ある。 やはり、持って行かれる直前に枚数をチェックしなかったのが敗因。
しかし、そんなことで引き下がっては腹がおさまらないので、ママを呼びつけます。
日本円に換算すれば2万いくらだけど、日本レートに換算してしまっては負けです。
「こんなに飲んでない、負けろ」とママ言うと、いったんレジのほうへ行きますが、
紙に書いて持ってきた数字は「2850×3」。
って、ほとんど3で割っただけじゃん(笑)ってか、何で3で割る?
あと、アンタには4杯ぐらい飲ませたよな。それでこの仕打ちか。
ママと僕、D君がそんな感じでやりあっているとき、 背後で遠く聞こえるカウントダウン、そして「ハッピー ニューイヤー!」の歓声。
ボッタくられて苦情を言っている瞬間という、まさに最悪の年明けを迎えてしまいました。これが来年1年の計かと思うとかなりブルーです。
片や僕とD君が店のママとさんざん喧々諤々やっている横で、Oはまったくの人ごとのようにずっと嬉しそうに女のコの乳を揉んでいました。
結局、7650バーツ僕がきっちり払いました。
とりあえず、気分を落ち着かせてとっとと店を出ることにします。
店を出る前にトイレに行くことにしました。出すもん出してスッキリしよう。
席を立って、ほんの数分です。
僕がトイレから戻ると、僕の席には見知らぬ白人の客が座っていました。
D君、O君らが座っていた席には誰もいません。彼らも連れの女のコたちも。
たった数分の間にすべてが煙のように消え去ってしまったのです。そんな馬鹿な。
店の外で待っているのかなと、外に出てみましたが、やはり誰もいない。
シャーデーの姿さえも……。
あのう……。
実は僕、トイレに立つときに全財産の入ったバッグを席に置いて来たんですけど………。
(続く)
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