メーター使ってくれない200バーツのタクシーで僕とシャーデーは今回の宿であるナナホテルへ向かっています。
深夜にも関わらず、道はけっこう混んでいました。
新年の特別な日だけあって、歩道をあるく観光客には家族連れの姿も多く見受けられます。
遠くのほうで花火の音も聞こえていたように思います。
とりあえず、タクシーを飛ばす僕たちでしたが、 問題は何一つ解決したわけではありません。
ホテルに帰ったところで、O君がいる保証はないのです。
また、彼が僕のカバンを持っているかどうかも確実ではありません。誰もO君が持って行くところを目撃したわけではないので。
ゴーゴーバーの人間が盗って、しらばっくれている可能性だって高いわけですから。
シャーデーの携帯からO君の部屋へ電話してみますが、出ませんでした。
しかし、それでも僕らはホテルへ帰るしかありません。
だって、お金、持ってないんだもん(泣)。
「オレ、カバンがないとあと50バーツしか持ってないんだけど」
「50バーツ? 本当に? じゃあ私帰る!」
走っている車のドアを開けて外へ出ようとするシャーデー。
おいおい。と、腕をつかまえて止める僕。 二人顔を見合わせて、笑。
むろん、彼女が帰ると言ったのはジョークなのでしょう。 たぶん。
ホテルに着くと、さいわいロビーにはO君と彼女がいました。
「じゃあ、私は帰るから」 と、なおもスタスタと歩き出そうとするシャーデーの腕を再びひっつかんで、 O君たちがいる場所へ駆け寄ります。
「O!なに勝手に帰ってんだよ(怒)」
いきなり怒鳴られてビクッとするO君、しかし僕の姿を見るとホッとしたように目を見開いてうるうるさせています。
「ゴーゴーさん! 先に店を出たんじゃなかったんですかぁ?」
捨てられた子犬のような目になっているO君。
僕とはぐれてしまったことがめちゃめちゃ不安だったらしい。
そしてやはり、僕の全財産が入ったカバンは彼が持っておりました。
身ぐるみ剥がれた僕のほうが不安だったっちゅうねん(笑)
真相は僕の想像したとおりでした。
店を出ようとしたときに、僕とシャーデーが姿を消していることに気付いたO君、
たちまちパニック状態に陥り、ダッシュで店を出て、車が走っている通りまで行ったらしい。
むろん席に置いてあった僕のカバンを持って。
まあ、彼がそのときに僕のカバンを持っていってくれなければ、 本当に盗られていたかも知れないわけで。
ポジティブシンキングって大事ですよね(笑)。
とりあえず、めでたしめでたしということでホテルのチェックアウトまであと2~3時間しかありませんが、解散してそれぞれの部屋へ行くことにします。
O君らとロビーで別れた僕とシャーデーは僕の部屋へと向かいました。
(続く)
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