ブックレビューです。タイトルは『タイ・アンダーストリート』。
タイ国内の旅行記です。ちょっとものものしいタイトルですが、内容はわりと健全です。売ったり買ったりの話が苦手なフツーに旅が好きな方も嫌悪感を抱かずに読めると思います。
まあ、そういった話はタイトルを裏切らず出て来るのですが、筆者本人が買わない人なので、そういう展開にはなりません。
本書は2002年の発行です。筆者 藤岡和幸氏は建築関係の仕事をしていた人で後にボランティアなどをしたりもしているようです。アジア通貨危機以前にはバンコクで働いており、不況で会社が倒産して無職になりました。最初の旅である「南タイ・アンダーストリート」はこのときビザランでマレーシア国境に行ったときの帰りの旅の様子を描いています。
無職でバンコクへ帰ったところですることがない筆者はのんびりと気の向くままに南タイを旅行します。そして立ち寄った町々で出会いがあるのです。出会った人たちとの交流を中心に話は進みます。
パッタルンのモトサイ運転手のウェンは、それが自分の使命であるかのようにことあるごとに筆者に女をあてがおうとします。マージンがとれるからではなく、あくまで親切でやっているようです。
スーラターニーで出会ったマッサージ嬢のポーは大学に通いながら働いていました。ポーのことがすっかり気に入ってしまった筆者ですが、そこで即Hなんてならないところがこの手の話では珍しい展開です。淡い気持ちを抱いたまま次の街へと向かう筆者。後日再開を期してスーラターニーを訪れるのですが……。
全編の3分の1を占める「南タイ編」はストリートを歩いたそんな旅の記録。読むとぶらっと旅に出たくなること必至です。
その他は「東タイ」「東北タイ」「北タイ」そして2回目の「南タイ」と旅の話は続きますが、おそらく筆者が本当に書きたかったのは「南タイ」だけなんでしょう。
それぐらいエピソードの色合いが違います。
こういう旅行記は心洗われますねえ。僕もエロばっかり書いてる場合じゃないですね。
おすすめ度は☆☆☆(満点☆5)。「南タイ」以外がなんとなく蛇足っぽいので。
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