かつて、山手線高田馬場駅名物に〝ポルノ噴水〟なるものがありました。
駅の脇のビルのてっぺんに裸の男女が向かい合った像がくるくる回っているという、かなりハレンチな代物でした。
なぜ〝ポルノ噴水〟と呼ぶのかというと、台座かどこかに堂々と「ポルノ噴水」と書いてあったからです。正式名称なんですねw
像、といえばダビデ像的な芸術的なテイストのものを連想しますが、そうではなくて妙にリアルな雰囲気のはりぼてっぽい造り、色もなまめかしい肌色です。しかも女性像のほうはちょっとピンクがかっていたりして。
「これはエロだから」という作り手の主張が聞こえてきそうです。
どう見てもこれはストリップ劇場などのエロい業界の広告としか思えないのですが、実はスズヤという質屋さんの自社ビルの上に建てられた広告塔でした。
何で質屋がポルノを大々的にアピっているのかは謎です。そのあたりは後述します。
この像を初めて目にしたのは小学生の頃だったと思います。
当時の僕は埼玉県の田舎町に住む子どもで、月に何回か新大久保にある歯医者に1人で通っていました。
そのときに山手線の車窓からこのポルノ噴水を目にしたのですが、「なんていやらしいんだろう」とひとかたならぬ衝撃を受けたものです。
いやらしいもののはずなのに、それはものすごく堂々と線路の脇に存在していて、その厚顔無恥な感じがさらにショックでした。
余談ではありますが、そのときに歯医者の待合室に置かれていた「週刊大衆」にトルコ風呂での二輪車プレイの体験ルポが載っており、トルコ風呂がSEXができるところだということもそのとき初めて知りました。
当時、SEXというものが何なのかもおぼろげにしかわかっていませんでしたが、ポルノ噴水の件と併せて「都会ってめちゃめちゃいやらしい場所なんだ」と少年の僕の心に刷り込まれたのです。
このポルノ噴水の像のモデルが男性は初代貴ノ花で女性はマリリン・モンローだというのはけっこう知られた話ですが、持ち主であるスズヤは公式には「男性力士と金髪女性です」と言い張っていたようです。ご本人の許可をえていないからでしょう。
ポルノ噴水に関しては、モデルの話以外にもいくつか都市伝説があるようです。
噴水に関する都市伝説としてはビルの持ち主である質屋・スズヤの女主人が男性たちの目を楽しませるために建てさせたのだ、というものがあります。この女主人は慈善事業などにも力を入れていて、近隣の人たちからは大層慕われていたとか。
また、もっとスゴイ都市伝説は、スズヤは毎年7人、早稲田の学生を新卒で採用していたというものです。彼らは30歳で退職しなければならないという契約で、その代わり退職金は1億円もらえたのだとか。なぜそんなシステムだったのかというと、それは女主人が常に数十人の若い男に囲まれる職場にしたかったからだそうです。むちゃくちゃな都市伝説ですね。誰が考えたんだろう。
このポルノ噴水に強烈なインパクトを感じた人は少なくなかったようで、現在でもググるといくつも記事が出てきます。
それだけ強烈だったわけですから、さすがにクレームも絶えなかったのでしょう。
いつしかぐるぐる回っていたのが回らなくなり、気がつくと像の塗装が男性は銀、女性は金に塗り替えられていました。肌色だと生々しいので目立たないようにしたのでしょう。でも、ある意味そっちのほうがエロいですけどねw
そして、いつの間にかスズヤのビルそのものが立て替えられ、現在ではフツーに小じゃれた噴水になってしまっています。
時代の流れとしては、いたしかたないですね。
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