ナットを失った傷心の日々から何とか立ち直り。
僕はプノンペンから次の目的地、バンコクへ向かうことにしました。
メジャーなルートとしては、シェムリアップ経由でポイペト→アランヤプラテートを経て向かうルートです。この頃にはすでにバンコク~シェムリアップ間はかなり整備されていて、バンコク発のバスツアーもバンバン出ていました。
でも、このルートは以前にも通ったことがあります。
まだシェムリアップ~ポイペトはほとんど舗装されておらず、ぎゅうぎゅう詰めのピックアップトラックで前後左右はおろか上下に激しく揺られていったものです。
せっかくなので違うルートで行きたい。
キャピトルで売っていたバンコクまでの通しチケットにはもう一つのルートがありました。シアヌークビル経由でココン→トラートの国境を越えてバンコクへ至るルートです。シェムリアップ経由だと1泊しなければなりませんが、このルートだと1日でバンコクまで行けそうです。
早朝にプノンペンを出てシアヌークビルへ。シアヌークビルに着いたのはお昼前でした。港で降ろしてもらって船に乗ります。
(※現在はプノンペンからバスでココンまで直行できるみたいです)
この間ナットと来たときには海を見ていませんが、シアヌークビルの港は港なのに水がすごく透明で泳ぐ魚の姿が見えました。海、けっこうキレイですね。
2時間ほど船に揺られてココンに着きます。ココンって僕はてっきりコン島という島のことだと思っていたんですが、ココンという県で町の中心は陸側にあるみたいです。
船着き場から街の中心へは向かわずにここからしばらく人気のまったくない野原を歩かされます。
途中、大きな橋が架かっていてそれを越えているときに、荷物をたくさん抱えた物売りが国境のほうから2人、歩いて来ました。
物売りの男は僕の姿を見ると、マルボロなどの洋物タバコのカートンボックスをいくつも取り出して見せます。「買え」ってことらしい。
「10ダラーOK」
安いじゃん。僕が買おうと貴重品入れをゴソゴソやっていると後ろで見ていたファランが「それ、偽物だよ。買わない方がいい」なんて言うのです。
ええーっ、これが? カートンボックスはちゃんとプリントされているしフィルム包装にも怪しいところはないんですが。でも、確かに「酒とタバコは偽物に注意」と聞いたことあるな。ファランの忠告をいれて買うのは止めました。物売りの男は「チッ」と舌打ちしていました。
橋を渡るとバイタクがたむろしている場所がありました。ここからはバイタクで国境まで向かうようです。バイクに乗ってでこぼこ道を30分ほど走るとカンボジアのイミグレーションがありました。
イミグレーションは空いていて、タイ入国にはビザも要らないのでココン側→トラート側とスムーズにイミグレーションを抜けられました。
タイ側のイミグレーションの前にはミニバスが停まっていました。トラートの中心部に行かずともここからバンコクまで行ってくれるようです。
タイに入ると、格段に道も街もキレイになりました。
ミニバスは僕とファランのバックパッカー6人ほどを乗せてハイウェイをぶっ飛ばします。こんなにスピードが出ることもカンボジアではなかったなあ。
道がガタガタしていないと快適で疲れも少ないという、当たり前のことですけど本当に実感しました。
いつの間にか僕は寝入ってしまい、目が覚めたときにはすでにあたりは真っ暗で。
バンコクの街の灯りが眩しく輝いていました。
(続く)
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