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よるのたび コルカタナイト(3)チキン・ビリヤニ


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チキンかマトンかわからないけど、ビリヤニ(4travel.jpより)

 

 

朝になりました。

ホテルのコーヒーショップで朝食を取り、午前中は少しゆっくりしてから出かけることにします。

コーヒーショップでご飯を食べていて気がつきましたが、このホテルにはバックパッカー的な旅行者の姿が皆無です。客は商用のインド人がほとんどのような気がします。

ここはやっぱりサダルストリートじゃないんだな。サダルストリートを探して、いい宿があったらそっちに移ろう。旅行者にコルカタの情報も聞きたいし。

何より、昨夜は早くに部屋に籠ってしまったので、することがなくて夜がめちゃめちゃ長かったんですよね。ゲストハウスがあるところだったらバーもあるでしょう。

 

外に出ようとフロントへ降りて行くと、フロント前のベンチに昨夜の白いクルタ姿の男が座っているのに気がつきました。相変わらず妙な落ち着きぶりです。

昨日、ちょっと話したときに男は教師をしているのだと言っていました。この自信満々な感じが教師だったらたしかに信頼感ありそうです。

僕は勝手に彼を〝先生〟と呼ぶことにしました

「おはようございます。昨日はありがとうございました」

あいその良い相手じゃなくてもフツーは会釈のひとつも返すのが当たり前だと僕は思うのですが先生にまったくその様子はありません。

「どこへ行く?」

「ちょっとそのあたりを歩いてみようかな……と」

すると、眉ひとつ動かさずにこんなことを言い出します。

「迷うといけない。私がついていってあげよう」

「いや、ホントにちょっと歩くだけなので……」

もちろん僕は断りましたが、先生は黙って後からついて来ます。

ホテルが入っているビルから出ると急に声をかけられました。

「ハロー。ジャパニ? 日本人ですかー?」

ケンカ売ってんのかよ。

 

声をかけて来たのはすらりと長身の若い男でした。

インド人なのに彫りがまったく深くなくてバカボンみたいなバカ面をしています。

「コルカタは初めて? いつここに来ましたかー?」

何だ、こいつ。こういうのにはあまり関わらないほうがよさそうだな、と思い、ガン無視を試みると先生が後ろから口をはさんできました。

「昨日着いたばかりだ。コルカタは初めてらしい」

何でアンタに個人情報を勝手に暴露されなきゃならないんだ。

「私、大学で日本語勉強しています。私の勉強のためにアナタを案内したいです」

そんな胡散臭いやつがどこを案内するのやら。もちろん答えはノーです。

 

「チキン・ビリヤニを食べに行こう」

先生が厳かに言い放ちます。何か有難い予言でもしているかのようなテンションです。

あまりに唐突な先生の言葉に、何て反応して良いものやら僕は固まってしまいました。

こいつだけでもすでに持て余しているのに、もう一人余計なのについてこられても困ります。

「それ、いいですね。美味しいですね。行きましょー」バカボンが先生に乗ります。だから何でお前らに僕の予定を決められなければならないのか?

ところでビリヤニって何?

「ごはん。ごはんの中に鶏の足が埋まっている」

お前絶対に日本語なんか勉強してないだろ。

 

ビリヤニはスリランカ・南インド発祥の炊き込みごはんのようなもの。各国で食されており製法は地方によってさまざま。炊き込みご飯方式のものと混ぜご飯方式のものがあるそうな。

そしてコルカタではなぜかこれが名物らしいんです。コルカタ式はじゃがいもがはいっているのが特徴なんだとか。肉はチキンかマトン。これだけ聞いてみてもあんまり美味しそうじゃないですよね。でも、好きな人は好きらしいですよ。

 

いつの間にかビリヤニ屋へ向かうことになてしまった僕と〝先生〟とバカボン。

何でこいつの言うことを聞かなければならないのか。

バカボンおすすめのビリヤニ屋はお昼時ということもあって、けっこう混んでいました。店の入り口から人が溢れ出しています。これ、並ぶんだろうか?

 

〝先生〟が無言でスッと進み出て、店の前に立っていたハンプティ・ダンプティみたいに恰幅は良いのにとても小さいおじさんに何かを聞いて帰ってきた。

「すぐに入れる」

しばらくすると一度店に入ったハンプティが再び出てきてこちらを手招きしている。ついていくと、店内の4人がけのテーブル席に案内された。

僕、〝先生〟、バカボン、そして……ハンプティ・ダンプティ?

なんで一緒になってテーブルに座っちゃってるの?

「彼が席を用意してくれた」〝先生〟はそれが大自然の摂理とでもいうような口調で言います。いや、彼って店の人じゃなかったの?

 

ごちゃくそに混んでいる店内だったが、ほとんどの客がビリヤニを食べているため回転は早いようだ。わりとすぐにビリヤニの皿が運ばれてきた。

たしかに見た目は長粒米で作ったカレーピラフにも似たたたずまい。

ごはんを掘り起こすとなかかた鳥の骨付きももが一本、どーんと入っていた。

なるほど。でもこれ、そんなにウマいかなあ。

微妙な気分の僕の周りで〝先生〟とバカボンとハンプティはビリヤニの皿をがっついていたのでした。

(続く)

 

 

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