ドゥルガー・プージャの夜から2日後。
僕はまだあの問屋街のホテルにいました。
あの日からいまだサダルストリートへ行けずにおります。まあ、その理由はおいおい。
ところで、このブログはタイトルに「よるのたび」とあるように、夜の話題を
中心にした旅の話、というコンセプトでやっております。
しかし、残念なことにここから先インド~西アジア区間は〝夜の話〟のネタはあまりありません。
お酒も女も宗教的にNGな国ばかりなので、必然的にそんな感じになるのですが、旅行していた当時の僕的にも、そっちの話を究める意志はなかったもので郷に入っては郷に従う感じで、あえて探したりしてはいないのです。
つまらないですよね。だから「コルカタナイト」の後はかなり飛ばし気味にいきます。でも、そんな中でもその手のエピソードが皆無というわけではないので。とくにトルコ。
本編「コルカタナイト」は艶っぽいエピソードはありませんが、おつきあいください。
今日も今日とてホテルの部屋で一人、目を覚まします。
夜遊びはしていないし、お酒もさほど飲んでいないのですが、昼間はそれなりに動いているので、夜はけっこうぐっすり眠れています。
健康的な生活ではあるんですけど、心はあまり晴れません。その理由もおいおい。
時計を見るとまもなく約束の時間です。バスルームで顔だけ洗い、部屋着を着替えて部屋から出ます。階段を下りてフロントへ行くとフロント前の例のベンチに〝オジサン2号〟が座っていました。僕の姿を見るとにこにこして片手を上げます。
この〝オジサン2号〟は昨日僕たちの一行にメンバー入りしたメンバー中で一番の新人です。すっかり〝僕たち一行〟ってなっていますが、あれ以来〝先生〟たちメンバーと一人も欠けることなく行動を共にしているのです。
オジサン2号もいつものパターンで街中をうろついていた先で、たまたま言葉を交わす機会があり、それきっかけでその後行動を共にするという例の謎のパターンで僕ら一行は総勢6名(僕含む)にまで拡大しております。
一昨日、メンバー入りした〝オジサン1号〟とこの2号はオジサンという以外とりたてて特徴もないし、僕もとくに思い入れがないためにそんなぞんざいな呼び名になっております。この二人に関してはいい年齢をして何をしている人なのかもよくわからないし、服装もかなり汚いので、実はホームレスなのではないかと僕は勘繰っております。
また、オジサン1号&2号は発言も極端に少なく、だいたい何かを発案する〝先生〟と、それに賛同の意を表して場を盛り上げるバカボン&ハンプティ・ダンプティという構図です。オジサン1号&2号は奴らの手足となって僕の世話を焼く係という役目のようです。でも、こんな汚いオジサンに世話を焼かれたくないなあ。
オジサン2号と僕はホテルを出ます。ホテルの前ではやっぱりオジサン1号が待っていました。
3人肩を並べて朝の街を歩きます。街は相変わらず荷物をいっぱい積んだトラックとそこから荷物を積み下ろしする働きアリのような人々でごったがえしています。
10分ほど歩くと一軒の家に到着しました。家、と言っても3階建てほどの小さなビルで、これがアパートとかでなくて一軒家だったらまあまあの豪邸です。
玄関の前では〝先生〟、バカボン、ハンプティが待ち構えていました。
今日は「僕の家で朝ごはんを食べませんか」という、バカボン発案の企画でおじゃましたという次第です。バカボン、ホントにバカボンボンだったんですね。
「じゃあ、行きましょう」
バカボンの音頭で一行は家のなかへ。どうやらホントにこれ、一軒家みたいです。
玄関から入って廊下を通ると10畳程度のリビングがあり、パジャマのような部屋着姿の太ったおじさんがくつろいでいました。奥はダイニングになっているようで、おばさんともう一人、中年の女性が忙しそうにしています。
「僕の父と母、姉です」
バカボンが紹介するので「こんにちは」と僕は会釈しましたが、太ったおじさんはなぜかガン無視です。ダイニングから顔をだした母親らしきおばさんとも目が合いましたが、秒でそらされてしまいました。どういうこと?
「行きましょう」
家族のおかしな態度に動じる様子もなくバカボンに促されてリビングの奥にあるエレベーターに乗ります。家の中にエレベーターってスゴイな。しかし、3人も乗るとぎゅうぎゅうになってしまうサイズなので、ハンプティとオジサンたちは次を待ちます。
エレベーターから降りたところがバカボンの部屋でした。
ベッドや机など一通りあり、テレビなんかもあります。ホテルの僕の部屋よりは全然いいです。
そのうちハンプティとオジサンたちもやってきて部屋でくつろぎます。
大の男6人がはいるとそれなりに狭くなりますが、入るだけスゴイやな。
しばらくすると、バカボンの妹でしょうか、若い娘さんとさっきの中年の女性、母親らしきおばさんが料理の乗ってお皿を持って現れました。
僕たちの目の前にお皿を置いていくのですが、まあ表情の硬いこと。お皿を置いてくれたおばさんに「ありがとうございます」と言っても無視です。置くだけおいて女性たちは無言で去って行きました。
料理は平焼きみたいな粉もの薄く焼いたものにバターが乗ったものと、カレーのような野菜の和え物、スクランブルエッグとチャイでした。
美味しいんでしょうね。美味しいんだろうけどどんな味がしたのか、僕はあまり覚えていません。ハンプティやオジサンたちはがつがつ食っていましたけど。
(続く)
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