「日本人ですか?」広場であほみたいにぼーっとしていた僕に 声をかけてきたのはトルネコかマリオかといった感じのトルコ人の髭のおっさんでした。とりあえず心の中でトルネコと命名します。
「はい?」
「日本はドコですか?」
「東京」と答えると、
「私の友人、シンジュクでトルコ料理のレストランやってる。私の名前を出すと安くなるよ」 などと言います。
初手から嘘っぽいなあ。こういうこというやつにだいたいロクなのはいません。
そして、名刺をあげるから店までついて来いとまで言うのです。別にトルコ料理が安くなってもそんなに嬉しくないし、いまいち。 あ。トルコ料理は美味しいですけどね。
「私の友人、ヨシワラでトルコ風呂やってる」とか言われればほいほいついていくんですけどね。あ、これ、怒られるやつかw
確かに怪しさ満点ではあります、でも、万が一、ホントに万が一だとは思いながらも、親切心で言ってたら悪いし。まあ鉄板で嫌な予感はしているんですけど。
しぶしぶながらも、ついて行った先は奥まった裏路地にある絨毯屋でした。
中に入ると、暇そうにだべっていた若い男数人が慌ててわらわらと立ち上がって場所を空けます。
当然客は誰一人いません。 うわあ、ひさびさだなあ。この嫌な感じ。
コルカタで謎のインド人たちを従えて歩いていた日々を思いだしますねえ。
↓そのときのお話はこちらから
しかも今日の僕は超かもねぎモードなんです。
出かけるときに貴重品を宿の金庫に預けようと思ったら誰もいなかったので、そのまま外出してしちゃったんですよね。
ノートパソコン、デジカメ、クレジットカード、国際キャッシュカード、TC、航空券、現金。ありとあらゆるジャンルの金目のものを持ってます。
身ぐるみ剥いで数十万円ってとこですけど、キャッシュカードでお金をおろされたりすると、ちょっとごっついかも知れません。
トルネコはしきりに夕食を食べていくように勧めます。
これって、もろに「地球の歩き方」に書いてあった日本人観光客が巻き込まれやすい犯罪に書いてあったあれじゃん。
飲み食いすると盛られた睡眠薬で意識を失って、気がつくとすっぽんぽんでどこかに放り出されているってやつです。ちなみに夕食の話が出るまでは、バカ高い絨毯を売りつけられるあれかと思っていました。
そんなのを読んでしまっていたものだから、百歩譲ってトルネコが親切で言ってくれていたとしても、おちおち落ち着いて食えたもんではありません。
「今夜は用事があるんだ」
「私たちはせっかく友達になったあなたをどうしてももてなしたいのです」
「でも約束しているんです(友達になった覚えはないけどな)」
「もし、今夜がどうしてもダメだというのなら、明日その機会を設けさせて下さい」
「では、私は明日ここに来ます(適当)」
「約束です。私たちは友達ですから」
ここまで嘘と嘘の応酬という不毛の時間があって、ようやく僕は解放してもらうことができました。
さて、翌日夕方。
僕も約束は守るほうです。
出会い系だって約束を破ったことはありません。一度約束すれば、必ずその場所には行きます。そこから逃げたことはありますがw
で、この日はホテルにちゃんと貴重品もカメラも金目のものは全部置いて来ました。
けれども結局、面倒くさくなってトルネコはぶっちぎってしまいましたとさ(笑)
(続く)
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