バンコクに着いたのは朝の8時半でした。
この街に朝に到着するのって、初めてかも知れません。 日本から来るときは中華航空にしろNWにしろいつも夜中に到着するから。
そう、やはりバンコクは、僕にとっては夜の街。
行きは安宿街のカオサンに泊まっておりましたが、 今回は遊ぶ気満々です。
スクンビット方面行きのエアポートリムジンで市街へ向かいます。 とりあえず目指したのは、いつものナナホテル。
この当時ってまだ飛び込みでホテルとっていたんですよね。agodaなんて全然知らなかったと思います。
フロントで空室かどうかを聞いたところ、フロントのおじちゃんに冷たく「マンシチュ(満室)」と言われてしまいました。まだ11月半ば。少なくとも日本は海外旅行シーズンではないのに。
ナナホテル、当時はけっこう人気でした。どういう人に人気があるのかは、今もってよくわかりませんが。 家族連れもけっこういたりするし。
仕方なく、はす向かいの「DINASTY INN」にチェックインしました。
ナナホテルよりも小さくて、さらに雰囲気の暗いホテルですが、 部屋は意外に広くてきれいかも。1泊990バーツ。値段も変わりません。 なぜか室内にラジカセが置いてあるところも微笑ましい。
昨夜は機内泊だったので、少し横になり。 目覚めて、さあ今夜はどうしたものか、といろいろ考えます。なんせ、ヒマはいくらでもある。お金はそうでもないんですけど。
どうせ日本へ帰ったら働くわけだし、 ここは思いきってパーッといっちゃおう。なかなか鼻息は荒いっす。
あれこれプランを練っている瞬間って、それが一番至福の時だったりします。でも仕事……クビになってたりして。 まあ、そんな現実と向き合うのはいましばらく保留しておきます。
運が悪いことに、シャーデーは出稼ぎ中でバングラデシュです。
「12月には日本へ帰るから11月下旬にバンコクへまた来るからね」と一度ならずメールを送ってたんですが。
どうやら理解してもらえなかったみたい。 唯一のコミュニケーション言語である英語は、お互いかなり怪しいです。メールだと、それはさらに顕著になるんですよね、彼女の場合。読み書きが苦手のようです。
たしかシャーデーは「12月にバングラへ行かなきゃならないけど、11月は大丈夫」って言っていたはずなんだけどなあ。なのになぜか11月中旬から出稼ぎなんだな。まあ、僕の英語力もたいがいですから。
もしかしたら、僕が「12月までに日本に帰らなきゃならない」って言ったのを曲解したのかもしれません。直近届いた彼女からのメールは、僕に会えない恨みの言葉でいっぱいでした。 そんなことを言われてもねえ。こっちはちゃんと来てるんだから。
責任の所在は僕にはないはず。 シャーデーに会えないのは残念ですが、 それは裏を返せば遊び放題ということでもあります。勝手なもので、少し浮き足立ってさえいる僕です(笑)
↓シャーデーに関するお話はこちら
往路ではインドのビザ待ちなんかもあって、バンコクには1週間ぐらい滞在しました。
その間、遊んでなかったのはカオサンの安宿住まいもありましたが、 実際はシャーデーがずっと一緒だったからなんですよね。いえいえ。それも幸せでした。
……で。 どうしよう? 何をして遊んだものか。
やっぱり僕の場合、ゴーゴーで飲んだくれる感じか。
それでももちろんいいんですけど。 でも……。
ふと、思い立って小物バッグの底の貴重品入れを漁って、メモ帳をひっぱり出してみます。
ページを繰ると、ベトナム語のあいさつやデリーのシティバンクのアドレスなんかの間に 携帯電話の番号が二つ。
たぶん、つながるはずのない電話番号。
でも、ダメもとでかけてみます。
「………プーッ……プーッ……プーッ……」 あれ?呼び出し音、鳴ってるじゃん。まさか。
「ガチャッ、……はろぉ~~?」
え。出ちゃったよ、何で?
(続く)
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