フードコートを出て、ソンテウの乗り場まで歩きます。
ソンテウはほぼ満員でしたが僕とトゥーは何とか座ることができました。
後からファランとタイガールのカップルが乗り込んで来るとトゥーは席を詰めてタイガールを座らせてあげていました。
ホテルはセカンドロード沿いだったので、ホテルの前でソンテウを停めて降りました。
フロントで彼女はIDを渡し、部屋に上がります。
部屋に入ってベッドに腰かけると、いきなりそういうモードに。
「あなたは約束を守った。とてもいい人」
そう言ってトゥーは大きな目をウルウルさせてじっと正面から僕を見つめてきます。そしてゆっくりと僕のに両手を回してくるのです。
これはちょっとどきどきします。僕は年甲斐もなく照れてしまい、「しゃ、シャワーでも浴びる?」とごまかすことしかできませんでした。
バッグを手に洋服のままバスルームへと入っていく彼女の背中越しに、
「僕も入っていい?」と声をかけるとくるっと振り向いて「Nо!」と顔をくしゃっとしかめて舌を出します。ホント、子供みたいです。
数分後、バスタオル1枚を身体に巻いてバスルームから出てきたトゥーとタッチして、僕がバスルームへ。出てくると部屋の電気が消えており、彼女はベッドで布団をかぶった状態でした。なんか、LBを相手にしたときのシチュエーションと同じですが、まさかそんなことはないでしょう。これ、もちろん伏線ではないですw
少しだけ布団を剥ぐと彼女の顔が出て来ました。目をつぶって澄ました表情をしています。耳元にフッと息をかけると「チャカチー!」なんて言ってキャッキャと笑っています。
しかし、なおも彼女の耳元へゆっくりと唇をよせてキスすると、無邪気な笑顔は一転して悩ましい、大人の女の吐息が漏れ始めました。じっくりと丹念に彼女の身体の一部一部を確認していくたびに吐息が漏れます。下のほうへ手を伸ばすと、すでに湿り気をおびてきているようです。
しかし…なんか違和感を感じるんですよね。
反応は耳や首筋のあたり、そして胸がMAXであとはそうでもないのです。
何より、彼女は終始手足を伸ばして横になっている状態で、そこからぴくりとも動いていません。反応はあくまで声だけなのです。普通だったら僕の背中に手を回してきたり、足をもじもじと動かしたりと、もっとアクションがあるはず。
しかし、彼女はずっと仰向けにひっくり返ったまま、微動だにしません。こんなパターンは初めてです。ちょんの間で愛想のない娼婦にお相手してもらうときでももう少しましでしょう。
もしかして、ものすごい〝まぐろ〟?
そう思った瞬間、僕の中でパンパンに膨張していたものが一瞬にして萎んでしまいました。この当時はまだEDまではいっていませんが、何だかあまりそういう欲がなかったので、もう駄目です。一気にそういう状態ではなくなってしました。しょぼん。
「しないの?」
「うん、今日はちょっと調子が悪いみたい……」
とりあえず体調のせいにして誤魔化しました。まあ、体調のせいなんだけど。
トゥーはそれに対してとくに何もリアクションはありませんでした。
もしかするとSEXがあまり好きではないコなのかも知れません。
嫌だけど僕のため(そしてお金のため)に我慢して付き合ってくれたとか…わかりませんけど。
しばらくピロートークをしたあと、彼女は着替えて帰って行きました。
「明日はバンコクなんでしょ? 他の女の人と遊ばないでね」
トゥーはすっかりやることやったカップルの女性のような雰囲気を身にまとって、明るく帰って行きました。
(やることやってないんだけどなあ。まあ、いいか)
普通ならこれだけで終わってしまいそうな流れですが、実は彼女との関係はこれが始まりだったのです。
(続く)
↓ぽちっとお願いします