コロナで店が閉まり、お金がなくなったトゥーはパタヤで配給の食料などをもらってなんとか食いつないでいたようです。
そんな彼女を可哀そうに思い、僕はわずかではありますがお金を送りました。
すると、前にもまして彼女から頻繁にLINEが来るようになりました。
とはいっても内容は挨拶程度です。お互いにgoogle翻訳を介してのやりとりなので、少し込み入った話になると、もう何の話をしているのかさっぱりわからなくなります。
僕はなるべく修飾語を少なくして主語述語をはっきりさせた文章を翻訳し、さらに訳されたタイ語もニュアンスが適切なのかをチェックしてからメッセージを送っていますが、彼女にはそんな知識はないでしょうから、ときどき意味不明の日本語が送られて来ます。なので、自然とやりとりはごく簡単なものになってきます。
「ごはんは食べましたか」
「あなたは私に会いたいですか」
「あなたはいつタイに来ますか」
まあ、だいたいいつもこんな感じです。こんな文言があったりなかったりですが、必ず入っている文言は「お金がない」です。
僕はだいたいその都度決まった額を送金していました。
僕の中では月に一度ぐらいに考えていたのですが、言われるままに送っていると、月に3~4回ぐらいのペースになっていたと思います。
一番最初のときだけ、送金して1週間後にお礼のLINEがありましたが、その後はこちらが聞かなければ受け取ったという連絡もお礼もとくにありません。
あ、一番最初もこちらから聞いたんだっけ。
その癖、お金に困ると鬼LINEです。からっぽになった銀行口座の写メなんかを送りつけてきたりします。
7月になるとタイでは非常事態宣言が緩和され、外国人観光客の入国はできませんでしたが、パタヤでもゴーゴーバーなどが営業を再開したようでした。
一時は田舎のコンケーンに帰っていたトゥーもパタヤに戻ったようです。
それでも「お金がない」って言うんですよね。
まあ、たしかに彼女は売れっ子でもなさそうだし、Pin-upほどきれいなコが山ほどいる店ではなかなか客はつかなそうです。顔はキレイなんですけどね。
そのくせ「暇がない」なんてことも言ったりします。
一度、なんで暇がないんだ?と聞いたらこんな写真を送ってきました。
「私は犬や猫に餌をやるので忙しい」のだそうです。
多頭飼育崩壊?…そんなわけないですよね。保護団体のボランティアでもしていたのでしょうか。わからん。
なんとなく彼女に対して鬱憤が溜まってきた7月のある日、彼女からこんなLINEが届きました。
「8月は私の誕生日です。でも、私にはお金がない」
しかし、ほんの1週間前に送金したばかり。その前の週にもパタヤに戻るから、ということで送金しています。さすがに要求しすぎでしょう。
「今月はもうお金は送れません。誕生日ならプレゼントを贈るよ」
すると、すぐに彼女から怒りのLINEが怒涛のように押し寄せました。
「私は本当にお金がない」「誕生日なのに」「あなたは優しくない」
これにはさすがに僕もキレてしまいました。
そもそも、僕とあなたは一度しか会ったことがないし、本当に8月が誕生日なのかも知らない。僕は何度かあなたにお金を送っているが、あなたはそれを受け取ったことも私に知らせなければ、お礼の言葉も寄こさない。あなたこそ僕に優しくないのではないか?そんな内容のLINEを怒りに任せて送りつけました。
もちろん、勢いなのでいつものように翻訳チェックもしておらず、どんなふうに翻訳されたのかも把握していません。
それ以来、彼女からのLINEは途絶えてしまいました。
(続く)
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