レインボーを3軒回って最後に3へやって来ました。
すでにそこそこ酔っ払っています。
店に入っていつものキャッシャー横の席に着くなり長身ロングヘアのゴゴ嬢がすっとんで来ました。そしていきなりこんなことを言います。
「ねえ、ゴーゴー。今夜はペイバーしてくれるんでしょ?」
え、キミは誰?
いや、正確に言うとなんとなく顔は覚えています。
おそらくは昨年末か4月に来たときあたりから、例のJACKPOTゲーム飲みの面子に何回か加わったことのあるゴゴ嬢の一人です。
その中でもちょっとかわいいなあとは思っておりました。森下千里にちょっと似た雰囲気でしゃくれ入ってますけど美人です。長身でスレンダー系ですが細すぎということはありません。
おそらく隣に座ったときには太ももやお尻をさわさわするぐらいのセクハラはかましていると思います。でも名前は覚えていないし、ましてやペイバーっていきなり言われても……。
「昨日は明日ペイバーするからって言ったのよ」
「ごめん、覚えていないんだ」
彼女はプッと頬を膨らませてどこかへ行ってしまいました。
「ゴーゴー、じゃんけんしよう!」
入れ替わりでやって来たのはおばさんです。
この前までのJACKPOTゲームはなぜか昨日からじゃんけんゲームになっていました。
「じゃん、けん、ポイ! あい、こで、しょっ!」
何のことはありません。フツーにじゃんけんしてして負けた人が飲む、それだけです。
タイにじゃんけんなんてあるんでしょうか。おそらく客が教えたんだろうな。
JACKPOTゲームもほとんどサイコロの出た目勝負でゲームの要素があまりなかったんですが、じゃんけんはさらに単調です。
一体何が楽しいんだかよくわかりませんが、負けたら飲まされるというギャンブル的な要素だけでみなさんアドレナリンが出ちゃうので血が騒ぐのかも知れません。
このゲームのよくないところは、ペースが異常に早いことです。
JACKPOTゲームも一勝負数分でかなりハイペースでしたが、じゃんけんなんて数秒で終わってしまいます。
負けるごとにテキーラワンショット飲んでいたら1時間足らずで全員死んでしまうので、さすがにおのおののドリンクを少し空ける程度にしましたが、それでもあっという間に酔いが回ってしまいました。
ふと、横を見るとさっきのゴゴ嬢がしれっと座っていました。
さっきは少し怒っていましたが、今はノリノリでじゃんけんに参加しています。
じゃんけんなんで何回もやっていれば絶対に無傷ではいられません。彼女も何回か負けて飲まされていました。少し上気した顔になっていて艶っぽいです。
せっかくなので彼女の無駄な肉のない、つるんとした太ももをさわさわさせていただきました。これを肴にビールを飲むのがまた幸せなんです。
酔いも回って気持ちよくセクハラに励んでいたら、視線を感じました。
顔を上げると彼女と目が合ってしまいました。あ、これはマズいかも。
「ペイバーしてくれる……わよね?」
にっこりと彼女は僕に笑いかけながら言うのでした。
(注)本編は以前公開した「ナンのはなし」と内容が重複しております。同編は現在公開を停止しています。
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