目が覚めると朝でした。
もうけっこう日は高いのでしょう。カーテンの隙間から強めの日の光が射し込んでいます。開けたら一気に部屋が明るくなりそうです。
まだ酒がバリバリに残っています。頭の中に霞がかかっているみたいにボーッとしています。
あれ? 昨夜はどうしたんだっけ?
たしかR3のラストまで何とか持ちこたえたのは記憶しています。
確か席で潰れていたナンを抱えてホテルまで戻ってきたような……そんな気もします。
そしてその後だ。……うーん、思い出せない……。
ふと、横を見るとベッドの布団がこんもりと盛り上がっています。
めくってみると、ナンが生まれたままの姿ですやすやと眠っておりました。
彼女のそんなあられもない姿を目の当たりにするのはもちろん初めてです。
すっぽんぽん、ってことはやることやったのかな。
しかし、まったくそんな記憶はなく。
最近タイでは前夜の記憶がないことが頻繁にありますが、そもそもは泥酔してもそこまで前後不覚にはならないほうです。
友達なんかと飲むと皆が覚えていないことでもけっこう覚えていたりして、絡まれたりするとずっと忘れないので執念深いやつだと思われがちです。
(やっていたら覚えていると思うんだけどなあ……)
頭を抱えていると「うーん……」と大きく伸びをしてナンが目を覚ましました。
「おはよう」二日酔いなのか眠いのか、彼女もまだボーッとしているようです。
(困ったなあ。まさか「昨日したっけ?」なんて聞くわけにはいかないよなあ……)
「私、帰らなきゃ」
こっちが悩んでいるのを気にも留めず、ナンはパッとベッドから起きると、椅子の上に脱ぎ散らかしていた服をさっさと着てあっというまに身支度を整えてしまいました。
問題は解決してないけど、仕方がないので僕も起き出してパンツだけ履いて見送ります。財布から3000B出して渡すと「コップンカー」と受け取ってワイをしてくれました。そしてこんな一言を。
「昨夜は酔っ払って寝ちゃってごめんねー」
手を振って明るくドアの向こうに消えて行ったナンを見送って、少し気が抜けた僕でした。なあんだ。やっぱりやってなかったんですね。
あらためて部屋を調べてみると、確かにゴムのストックも減っていないし、ゴミ箱にその後っぽいティッシュもありませんでした。
でも、三度目の正直でもやることやれなかったのが良かったのか悪かったのか。
やったのに記憶がない、というのはちょっと嫌ですね。
でも、やれなかったのはどうやらナンが潰れてしまったからみたいだから、僕の責任ではないのかな。まあ、僕もできたかどうかははなはだ疑問ではありますけど。
まあ、何よりナンが喜んで帰って行ったからいいか。(たぶん)初めてお金を渡すこともできまたし。
でも、やっぱりちゃんとやりたかったなあ。
ホテルに帰った時点で泥酔していなければいいのですが、とりあえず今回の訪タイで泥酔していなかったことがないからなあ。
僕が彼女とできる日は果たしてくるのでしょうか。
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