気づいたら朝でした。
(昨夜はどうしたんだっけ……)
二日酔いで霞がかかった頭で一生懸命思い出します。
そもそも僕、記憶をなくすタイプじゃなかったはずなんだけど、年齢でしょうか。
昨夜はR4のあとにR2へ行ったんでした。
そこでウェイトレス2人相手にテキーラを5~6杯飲んでエンジンかかっちゃった……んだっけかな?
(その上に最後に行ったR3でも調子に乗ったんだよなあ…)
たしかじゃんけんゲームはしなかったんだけど、調子に乗ってバンバン飲みました。
おそらく看板までいたはず。伝票が札束みたいになっていた映像が浮かびます。
(で、さらに調子に乗って……)
2夜連続でナンをペイバーしてしまったのでした。
記憶が確かな証拠に隣ではナンと思しき布団の膨らみが横たわっています。
布団をはぐると確かにナンでした。
これでナンじゃなかったらけっこうウケるんですけどねw
いきなり明るくしたせいで起こしてしまったみたいで、ナンは眩しそうに顔をしかめて何やらぶつぶつ言っています。
「おはよう」
ようやく意識がはっきりしたみたいで、とろんとした目で微笑むナン。
なんか、こういうの久しぶりです。悪くないなあ。
しかし、むっくりと起き出したナンは、あられもない姿のままでベッドから飛び出すとシャワールームへ直行。
3分ほどでシャワーから出てくると、そそくさと服を着始めます。
「帰るから」
あれ? なんか怒っているのかな。
怒られる心当たりはありません。相当酔っ払っていたけど昨夜はやることやったはずだし。まあ、そりゃあしらふのときに比べればたぶん頑張っていないと思いますけど。
僕がパンツ一丁のままでベッドに腰かけてあれこれ悩んでいる間に、彼女はすっかり支度を整えて待っています。ものすごく何かをいいたげな顔で。
あ、そうか。お金、渡さないと。
椅子にひっかけたハーフパンツのポケットから財布を取り出して開きます。
中は見事にすっからかんでした。紙幣は1枚たりとも入っていません。
まあ、昨日は遣ったもんなあ。R2でもけっこうテキーラ空けてるし、最後はナンをペイバーしてるし。
(R3でお金、ちゃんと払ったんだろうか)
さすがにツケなんて効かないでしょうから、たぶん何とか払えたんでしょう。
あ、でもお金を下ろしに行かないとナンにあげるお金がない。
「ごめん、お金がない」
ナンに謝って近くのATMまでつきあってもらいます。
フロントのキャッシャーでセーフティボックスを開けてもらって、キャッシュカードを出します。後ろでずっと腕組みをして待っているナン。
そのままホテルの敷地を出たところにあるATMへ。
3000B下ろして渡すと、ナンは黙って受け取ってそのまま帰って行ってしまいました。
やっぱりどこか素っ気ないです。まあ、もともと愛想がいいコではないけど。
でも、本当に彼女を不機嫌にさせるようなこと、身に覚えがないんですよねえ。
考えてみると彼女2連泊で家に帰っていないはずだから、家に何か心配事でもあったのでしょうか。
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