「ゴーゴー?」
ミスレジスターから渡されたスマホ。そこから聞こえてきたのはあのヤムの声でした。
ヤムは5年ぐらい前にこのR3でウェイターとして働いていたトムボーイで、彼とここで出会って仲良くなったのが、ここに通うようになったきっかけでした。
実はここでこうやってヤムと話すのは久しぶりというわけでもありません。
彼はR3を辞めたあとも、ミスレジスターとはずっと連絡を取っているらしく、彼女が気をきかせて時々ヤムに電話してくれていたのです。
もっとも、ヤムは英語がまったくダメだし僕のタイ語もまあ似たようなものなので、たいがい会話らしい会話は何一つできませんでしたが。
1年前にはヤムの住むマハーサーラカームまで行ったこともあります。
彼の故郷はコンケーンだと聞いていたのですが、北バスターミナルからミスレジスターの言うがままにバスに乗って着いたのはそこでした。まあ、埼玉の人がタイ人に出身を聴かれて東京だと答えるようなものでしょう。
ヤムの実家は結構広くて立派でした。実はボンボン(女だけど)だったみたいです。
実家の敷地に入ってすぐの部屋には数台のパソコンと机が並べられており「インターネットカフェをやるんだ」とヤムは言っていました。
ヤムは両親を紹介するときに一緒に「僕のベイビーだよ」と、3~4歳ぐらいの男の子を連れて来ました。
(トムなのに何で子供が? もしかしてヤムが産んだ?)と僕が訝しんでいると、1枚の写真を見せられました。
写真には大学の卒業式でしょうか、角帽をかぶった美人が写っていました。どうやら彼女はヤムの現在の彼女で男の子は彼の連れ子のようでした。
そんな感じで1泊だけですが、マハーサーラカームで過ごしたときのことを思い出しました。あれ以来ですが彼は元気にやっているのでしょうか。
「今からレインボー行く!ゴーゴー…いっしょに…のむ!」
挨拶も早々にヤムから思ってもみない一言が。
単語の英語とタイ語を駆使してなんとかコミュニケーションをとったところ、どうも今彼はバンコクにいるらしい。
電話を切ってミスレジスターに聞くと、彼女がバンコクで就職したらしく、ヤムもそれについてきているらしいとのことでした。
「ゴーゴー!」
30分ほどしてヤムが現れました。駆け寄ってきてアツくハグを交わします。
ん? 昨年会ったときもそうだったけど、また一回り大きくなっていないか?
ハグしたときの感触が確実に大きいです。
ヤムの彼女であるミンも一緒でした。アンコールの彫刻みたいな美女でカンボジア国境に近いスリンの出身だとのことです。
ミスレジスターもカウンターの中から出てきてとりあえず4人で乾杯です。
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