ゴーゴーに行けばヤムばっかりモテるわ、それでいてお会計は全て僕もちなのでまあまあ散財するわで、その日は少し打ちひしがれてホテルに戻って来ました。
もちろん今晩も1人です。
今夜はソイカでちょっと飲んでからのR3でじゃんけんゲーム込みの馬鹿飲み、そのあとヤムとゴーゴーをはしごして、さらにR3に戻ってまた飲んだので相当酔っ払っています。もう何もする気力もなく、シャワーも浴びずにとっとと寝るつもりでした。
コン、コン。
すると誰かが部屋をノックします。
時間は夜中の2時を回っていました。こんな時間に他人の部屋をノックしてくる奴なんてたいていロクなもんじゃありません。当然無視を決め込みます。
コン、コン。コン、コン。
しかし、ノックは執拗に続くのです。うわあ、これ、ヤバいやつかな。
仕方がないので出てみることにしました。もし命を狙われていればドアを開けるだけでもアウトでしょうけど、もてあそんだゴゴ嬢が自殺したとか、ドラッグの売人からブツを奪って逃げた等々の命を狙われるようなことは身に覚えはありません。もしも何かあったら大声で叫べばいいでしょう。
それでも覗き窓がないドアを開けるのはめっちゃ怖いです。
「ハロー?」
とりあえずドアの向こうにいる人間に声をかけてみます。
すると「ゴーゴー?」と僕の名前を呼ぶ女性の声が。
ちょっと安心してドアを開けてみると、そこに立っていたのはジーンでした。
「どうしたの?」
たしか彼女はじゃんけんゲームで負けて早々に沈没していたはず。今日はそのあとは姿を見ていませんでした。
「ホテル…イッショニ…」
ペイバーしたんだから連れて帰れということなのでしょうか。でも、僕は彼女が踊りたくないと言ったからペイバーしたのであって連れて帰るつもりはさらさらありませんでした。
「でも、ホテルはなしって言ったよね?」
しかし彼女は断固たる態度で引き下がる気配はありません。
「私、お金ない」
知るかーっ!(怒)
キミがお金ないのって僕のせいなの? こんなに散財してみんなに飲ませて、それでも全然モテなくてヘロヘロに酔っ払ってようやく部屋に帰って来たのに、そこまで面倒見なきゃいけないわけ?
夜中にいきなり人の部屋に来たうえに、ジーンのあまりに手前勝手な物言いに、僕は思わずぷちっとキレてしまいました。
強引に入って来ようとする彼女を渾身の力を込めてで部屋の外へ押し出すと、バタンとドアを閉めました。そして一切無視。
ジーンはしばらくドアを叩いていましたが、そのうちに諦めたようです。
何度か書いてますけど、彼女の顔はタイプだしスタイルもいいので、ホテルに連れて帰るのは決してやぶさかではないのです。
しかし、ホテルはなしという条件でペイバーしたのに約束を破られたこと、しかも自分がお金を持っていないからという僕にはまったく関係ない理由で部屋に来られたという点が気に障ってしまったのでした
知らない仲ではないんだから、数百バーツ渡して帰せばよかったんでしょうけどね。
それができなかったケツの穴の小ささがお恥ずかしい限りです。
次の日、再びR3に行ってみるとこの日も遊びに来ていたヤムがジーンに、
「ジーン、ゴーゴーのホテルに行ったんだけど、部屋に入れてもらえなかったんだってさ! ひゃっひゃっひゃ」
てな感じで指を差して笑われていたので、さすがに少し気の毒になりました。
ところで、今思ったんですけどジーンはどうやって僕の部屋がわかったんでしょう?
ホテルの名前ぐらいは店の誰かに言ったとは思うんですけど…。
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