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乱交ノ世界(26)及川氏、逃げる。


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『Lolipop』(facebookより)

 

 

 

↑のゴーゴーバー画像は本文とはまったく関係ありません。

90年代の話を00年ごろに書いたものをリライトしています。当時の「大人のパーティ」に関するお話です。

(注:)は現在の僕からの補足となっております。

 

ニフティの掲示板で見つけた怪しげなサークル。

入会を申し込んだ僕は、そのサークルの世話役なる人物に会いました。

 

しかし、こいつがまた(笑)

弁護士、早大体育会テニス部出身、伊豆にリゾートマンション所有、愛車はアウディ。

 

30代の男性100人を無作為抽出して、そんな素晴らしいプロフィールが似合う順に並べていったとしたら、間違いなく95番目ぐらいに遠そうな貧乏たらしい男。貧乏くさい以前に人として貧相。

 

しかし、僕はそんな彼、「及川氏」と女性会員の待つ喫茶店へ向かったのです。

ハイリターンはやはり大きなリスクを冒したものに享受されるべきもので。

 

及川氏が僕を連れてきたのはドトールとかプロントとか、そんな感じのセルフサービスのコーヒーショップでした。

場所はちゃんとは覚えてないんですが、風林会館と明治通りとの間、 ゴールデン街のしっぽのようなブロック。微妙なラブホテル街とか、組事務所が入ってそうなマンションとか、そういうエリアです。

 

「もうすぐ女性会員さんが来ますから」

及川氏は携帯を切ると僕に言いました。少し甲高いキイキイ声がホントにネズミのようです。

 

「今日は初回だからお見合いなんですよね。パーティはいつあるんですか?」

「今日、女性会員さんとお見合いしていただいて、その後、連絡します」

 

ふん。じゃあ、そのお見合いがパーティに参加するための試験なのか。

実際に女性と対戦してみて、アブないやつだったらパーティには呼ばない、ということなのでしょうか。

 

「じゃあ、料金のほうを」と、及川氏が切り出します。

料金とは、入会登録費用5万(高っ)プラスお見合い費用3万=計8万 。

「赤いハンカチ」詐欺のときの2倍の料金です。

僕は8万円入った封筒を「及川氏」に渡しました。

(注:当時の僕はけっこう懐があたたかく、キャバなぞもバンバン飲み歩いていたので金銭感覚が現在とだいぶ違いました)

 

及川氏は受け取った封筒の中を確認すると、そそくさとおんぼろコートの胸ポケットに押し込みます。一挙手一投足、なんだか落ち着きがないんだよなあ。

 

ほどなくして、グレーのコートを着た小柄・丸顔の女性が店に入って来ました。

及川氏が手を挙げて合図すると、頷いて僕たちのテーブルへとやってきます。

 

美人ではありませんが愛嬌はある、そんなビジュアルの女性でした。

彼女が席について紹介してくれるのかと思いきや、座る前に、

 

「じゃあ、あとはお二人で」

と、そそくさと立ち上がって去っていく及川氏。 あんたは仲人のおばちゃんか。

いや、仲人のおばちゃんだったらちゃんと紹介ぐらいしてくれるよなあ。

 

 

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