MENU

※その他のコンテンツはサイドバーのカテゴリから飛んでください



(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});

乱交ノ世界(46)ユキのはなし⑥


スポンサードリンク

『The Strip2.0』(twitterより)

 

 

↑のゴーゴーバー画像は本文とはまったく関係ありません。

00年代の「大人のパーティ」に関するお話です。

 

 

Yさんの件もそうでしたが、ユキは何かに対してキレると見ているほうが引いてしまうほどヒートアップして憎悪をむき出しにすることが、ちょいちょいありました。

 

それは時として、ほんのささいなきっかけでそんなふうになってしまうのです。

例えばレストランで店員の態度が気に食わないとか、電車で向かいの席に座った女性の風貌がなんとなく嫌だとか、ほぼ言いがかりに近いものもありました。

 

しかし、その相手に向かって面と向かってキレるわけではなく、あくまで悪態をつくだけでしたし、その怒りの矛先が僕に向けられることもありませんでした。

そして、ときどきそんなふうになるという点を除けば、僕にとってのユキはいつもどおり、甘えん坊でちょっと高飛車なところが可愛い彼女だったのです。

 

ユキのその感情の起伏の激しさは、彼女の複雑な家庭事情にも原因があったのかも知れません。あるとき、ユキはピロートークでこんな話をしてくれたことがあります。

 

「私ね、初めて日本に連れて来られたときね、本当に寂しくて寂しくて毎日泣いて暮らしてたの。それから普通に学校には行っていたんだけど、中学生のときにふとしたことがきっかけで学校に行けなくなって。2年間自分の部屋から出られなかったんだ……」

 

なんでも彼女は父親と海外の愛人との間に生まれた子で、まだ幼い頃に母親から引き離されて日本に連れて来られたんだそうです。

そして父親の奥さんとその間に生まれた兄妹たちと一緒に育てられたそうなのですが、義母とも兄妹ともあまり折り合いはよくなかったのだとか。

 

ちなみに実の母親とはその後1度も会っておらず、消息もわからないそうです。

 

「私はずっと独りだったの。だからゴーゴーはずっと私と一緒にいてね」

 

そのときは目を潤ませながらそう言ったユキでしたが、結局僕たちがつき合ったのは3カ月足らずのことでした。

 

あるとき突然、ユキに電話をしても一切つながらなくなったのです。

僕にはまったく身におぼえがなかったので、何回も何回も携帯に電話したのですが、ずっと電源が入っていない状態。

 

もしかしたら彼女の身に何かあったのではと、マンションを訪れましたがインタホンを押しても応答はありません。

何日かマンションに通ってみましたが、まったく同じです。携帯の電源もずっと切れたまま。

 

アンザイさんのパーティに出入りしているようなコだから、本当に何か事件に巻き込まれたのではないかと本気で心配でした。警察に届けたものかどうか迷っていた頃に僕のPⅭのメアドあてにユキから1通のメールが届きました。

 

それを読んだ僕は頭が真っ白になってしまったのです。

 

ゴーゴー様

もうあなたと2度と会いたくありません。

あなたの顔を見るのも声を聞くのも苦痛です。

一緒にいたと思うだけでゾッとします…………。

 

そんな書き出しで始まるそのメールには僕がいかに自己中心的で思いやりがなく、無神経で不潔な男かということが、A4の紙だと5枚びっしりになる分量で書かれていました。

それだけでなく、箸の上げ下ろしやふだんの一挙手一投足にいたるまでのダメ出しまで厳しく指摘していました。

20年前に買った上着をまだ大事に着ているところとか、ベッドにまでお酒を持ち込むところとか、デートに車でなく電車で行くとか。

親にも言われたことないの内容です。

 

そのときに僕が受けたショックは、悲しいとか口惜しいという感情ではなく、打撃を受けたという表現が的確かも知れません。

 

あらん限りの悪意を真正面からぶつけられた感じ。

なんでこれだけの憎悪をぶつけられなくてはならないのか。

 

あまりの衝撃で僕は2日ほど寝込みました。

 

その後、ユキとは1度も会っていません。もちろん会いたくもないです。

ちなみに彼女はアンザイさんのパーティには僕とつき合っていた頃からフツーに参加していたそうです。やっぱりね。

僕と別れてからもしばらくは出ていたようですが、いつの間にかいなくなりました。

 

1~2年後に風の噂で聞いたところによると、ユキは商社マンと結婚して子供も出来たものの離婚したそうです。

 

 

↓ぽちっとお願いします

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村