市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
なぜタイでは夜遊びのお店がさかんになったのか。
それについては以下の理由があげられておりましす。
1.伝統的な性的規範
2.経済発展、所得格差の拡大と女性の伝統的な役割
3.国際観光産業の発展とセックス産業の結びつき
4.ケア労働の越境・国際化と階層化
前回は1と2を説明しました。
その続きです。
3.発展する国際観光業とセックス産業の結びつき
東南アジア諸国では政府が先頭に立って観光開発に取り組んでいる国はおおいです。
ベトナム戦争で米軍の駐留し、そのおかげでがっつり観光インフラが整備されてきたタイではとくに外貨獲得の切り札として期待されました。
その結果、めでたく70年代にタイの観光客数は増大。
しかしこの当時のタイ政府や航空会社のキャンペーンのターゲットは男性でした。
いわゆる“買春ツアー”を国をあげてバンバン売り出したのです。
今やったら大変なことになりますけど、この当時でもやはり大変なことになったみたいです。70~80年代にかけて世界中のNGOなどから怒られ、下火となりました。
しかし、日本企業などの〝夜の接待〟の慣習は残りました。
僕の想像ですが、ファランがパタヤのバービアなどで沈没する慣習もずっと残って現在に至っているのではないでしょうか。
そして90年代以降、自由旅行での旅行者が増大したあとも、旅行者たちの多くは夜の街へと繰り出して外貨を落としてタイを潤しているのです。
4.ケア労働の越境・国際化と階層化
今や経済活動が国境を越えて行われることはフツーになっています。
例えばある国で生産した部品を別の国で組み立てる国際分業があたりまえの世の中であることは『社長 島耕作』にも書いてありました。
それは工業に限らず「ケア労働」の分野にも及んでいるんだそうです。
「ケア労働」ってなんじゃい? こういう耳慣れない言葉がいきなり出てくるのが難しい本の悪いところですけど、要はアメリカ映画でたまに見るお金持ちのベビーシッターがフィリピン人だったりするあれみたいです。
家事労働や介護、看護などが代表的な「ケア労働」のようです。
では接客サービスであるホステスさんや風俗店のキャストなどはどうか。
われわれが実際にしっている範囲だと、そういう業種の人たちのほうが絶対身近です。
本書を読むと出稼ぎの人に限らず、東南アジアの観光産業の一部になっている性産業も、先進国で人手が足りなくなった「ケア労働」の輸出ととらえることができる、と書いてあります。
日本の風俗が人手が足りていないのかというとそんなこともなさそうですが、コスパの良いものを求めて海外に行くわけだから同じという理屈なのでしょう。
80年代以降、出稼ぎ女性の入国が厳しくなったことも追い風となって、よりコスパの良い遊びを求めて海を渡る旅行者は増え続けています(少なくとも00年前半の時点では)。
そして、これも安い部品を海外で生産するのと同様の国際分業になっているのです。
これもツイートしたりすると燃えそうw
でも、最近だと日本もそうなりつつありますよね。
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