市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
ええと、ゴゴ嬢が自分の容姿をどういうふうに自分で思っているか、そして客とのトークが上手いか下手かによって、どういう売り込み方をするのかというお話。続きです。
まずは微妙に曲がったこの図から。
タテ軸は自分の容姿がカワイイと思っているかどうか。
ヨコ軸はお客とのコミュニケーションが上手か下手かです。性格が良くて好かやすい等の要素もここには入ります。
図は4つのゾーンにざっくり区切られていて、4つの営業戦略があることを示しています。それぞれを詳しく解説します。
1.店内専業戦略(容姿:悪 コミュ力:悪)
「私ブサイクだしデブだし歳も30過ぎてるうえに、お客と話すの苦手」
そんなゴゴ嬢は店内専業の営業になりがちです。
これは客にペイバーしてもらうなんて無理なので、店内でのドリンクバックやチップをより多くゲットしようという作戦。
初対面の男性に気に入られようとしても、気に入られないことのほうが多いので、切り替えてよりドリンクバックを多く得ることに力を注ぐのです。ドリンクならペイバーよりも全然ハードルは低いし、どさくさに紛れてドリンクを奢ってもらうことはさほど難しくありません。
この作戦をとるゴゴ嬢はドリンクやチップを得ると、とたんにその客への興味を失い、別の席へ行ってしまいます。
2.高回転戦略(容姿:良 コミュ力:悪)
「私イケてるけど、客といちいち会話するのウザいし~」
そんなゴゴ嬢は高回転戦略をとります。田舎から出てきたばかりで、客と話すのが上手くないコもここには含まれます。
若くて顔良しカラダ良しなゴゴ嬢は常に店内の多くの男から注目される存在。何もしないでいてもペイバーはしてもらえます。
ペイバーされてもすることしたらとっとと店に帰るので、客とコミュニケーションをとる必要はありません。あまりにひどいとリピートされることはありませんが、それでもペイバーしてくれる客がいるなら問題ありません。
新規客のみで稼ぐのが高回転戦略なのです。昔のレインボーやバカラの売れっ子はこういう人たちが多かったようです。
3.選択と集中戦略(容姿:悪 コミュ力:良)
「私、顔とスタイルはあまり自信ないけど、お客さんと話すのは楽しいの」
または、「あいつブサイクなんだけどいいヤツなんだよなあ」的なゴゴ嬢がとるのが選択と集中戦略です。
ルックスが残念なので、フツーにしていたら多くの客はつきません。だからこれは、と思う相手に対しては時間をかけてアピールしていくのです。
この方法ではあまり稼ぐことはできません。でも、良い常連客を掴まえることができれば、長期的にはいろいろトクをする場合はおおいです。しかも何人かそういった客がいれば、長い目で見て高回転ガールをしのぐことも夢ではありません。
4.自在戦略(容姿:良 コミュ力:良)
「私、ルックスもいいし、客もみんな私のことめっちゃ好きになるし無敵じゃね」
そんなすべてに恵まれたゴゴ嬢は、自在戦略。
自在戦略とは相手によっていろんなパターンで勝負するということですが、つまり何をやってもオッケーってことです。
もっとも効率的なパターンとしては、長期で固定のお客を何人も持ち、ちょいちょい行動を共にしてお金やプレゼントをもらう「選択と集中」に近い感じになります。
しかし、それが面倒だったら高回転戦略のように手っ取り早く稼ぐこともできる。つまり、気分というか本人のやりたいように選べるということです。
店内専業のゴゴ嬢たちは、客と長い付き合いをしようとは思っていません。とりあえず目先の金しか拾いに行かないので、あいさつがてらにドリンクを要求してみたり(奢ってくれればラッキー)、いきなりとなりに座ってみたりという暴挙に出ます。
そして、そんな店内専業ゴゴ嬢でも、完全にペイバーをあきらめたわけではありません。とりあえず「ペイバーSEX~」などと言ってみたりします。
そして、そういう輩に限って超ラッキーでペイバーされても、必ずしもちゃんとサービスするとは限りません。
もはやライトなたかりですw
あらためてゴーゴーって弱肉強食のジャングルなんですね。
ゴーゴーのあるあるで、日本人の一人客が座っていると必ず10年前はそこそこイケていたんだろうな、って感じのゴゴ嬢が「はろー。こにちわー」と怪しい日本語でからんでくる……というのがありますね。
誰かに優しくされたい夜なんかには、つい誰かに優しくしたくなって、隣に座らせてペイバーしそうになっちゃったりするんですけどね。
ペイバーしたらえらい目に遭うんですね、きっと。
まあ、怖くてペイバーしたことありませんけどw
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