市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』(03年)の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
本書に描かれているシチュエーションは20年前のものなので、金額などはそのあたり含みおきください
ゴゴ嬢の思考や行動も当時とはけっこう変わってきていると思います
インターネットの登場は海外風俗へのアクセスを容易にしただけでなく、ゴゴ嬢と客との関係も変えてしまいました。
電子メールが登場する以前は、しこしこと国際郵便で文通をしていたわけで、それを考えると奇跡的にコミュニケーションが楽になり、関係を続けていくことがよりカンタンになったのです。
『ゴー経』が書かれた00年ごろには、ゴゴ嬢らはhotmailのアカウントを持ち、ナナやパッポンのそこここにあった安いネットカフェでインターネットにアクセスしていました。
僕も90年代にゴゴ嬢とやりとりするときはメールなのにやたらと往復に時間がかかったし、内容も本当に〝手紙〟だった記憶があります。みんな家にパソコンなんてなかったから、ネットカフェまで足を運ばないとメールが出せなかったんですね。
携帯を持っているコも多くはなかった気がします。
でも00年代になると携帯電話も徐々に安くなり、だれもが携帯からネットにつながることのできる時代はそこまで来ていたのです。
文通の時代には〝代書屋〟なんて職業の人もいたようです。
まだ00年頃は健在だったみたいで、ネットカフェでPCの使い方などを指南してくれたりしたみたいです。
でも、さすがにスマホが普及した今ではもういないんでしょうね。僕は昔も見たことはありませんけど。
また、携帯電話の普及で電話での連絡もラクになりました。
かつてはゴゴ嬢の住むアパートの電話はオペレーターを介した交換方式のところが多く、タイ語ができない人にとってはまず電話をつないでもらうのが大変だったようです。
また、首尾よくつないでもらえても、言葉が通じない同居人が出てしまって話が通じないというケースもあったようです。大変だったんですね。
また、ゴゴ嬢たちは頻繁に住居を移りますが、そんな場合でも携帯だったら問題ありません。ただし、料金を払わないと番号が使えなくなってしまうため、それで連絡が取れなくなってしまったパターンは多いですけど。
ウォーカーさんとエーリッヒさんという人たちが、パッポンのゴゴ嬢と白人男性がやりとりした手紙とインタビューを1冊の本にまとめています。
また、おなじみコーエンさんも、白人男性とタイ人女性のやりとりの内容を分析しています。そこには〝親密さと距離感〟〝信頼と疑惑〟〝愛と金銭〟等々のジレンマに悩む姿があったといいます。
手紙なりメールなりで連絡が出来たとしても、会えないことには変わりありません。
他に男を作っているのではないかという疑惑を抑えられず、やっぱり金目当てなんだろうと煩悶する。相手から金銭援助の手紙が届くごとに、その堂々巡りは続くのです。
よく聞く話ではありますよね。
次回、ケーススタディです。
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