↑二本ともこちらで観られます。
ひさびさにDVDレビューです。
入院したり出たり過去のブログが消えたりで、ちょっと溜まっておりました。
ドラマの『半沢直樹』は相変わらず好調です。撮影が間に合わなくて第8話が飛んでしまう、という事態になりましたが、急遽差し込まれた特番も好評だったとか。
そんな感じで世間では堺雅人といえば〝半沢直樹〟イメージがすっかり定着してしまってますが、「半沢」や『リーガル・ハイ』がヒットするまでの堺雅人はたくさんの作品に出ています。
その中で、ちょっと「半沢」とは趣が真逆の役柄を演じている作品を二つ、ピックアップしてみました。
まずは『その夜の侍』。'11年の作品です。
吉田潮さんがコラムで絶賛していたので観てみました。
人気の舞台を映画化した作品で、監督は劇作家である赤堀雅秋。映画初監督作品となります。あらすじはこんな感じです。
小さな鉄工所を営む中村健一は五年前のひき逃げ事件で最愛の妻を亡くして以 来、深い喪失感と共に感情を押し殺した日々を過ごしている。その頃用期を終え出 所したばかりのひき逃げ犯·木島宏の元には、“復讐決行日”までをカウントダウン する名の脅迫状が届くようになる。二人の男と、取り巻く周囲の者たちそれぞれ が抱える孤独、葛藤、願い。 そして妻の五回目の命日の夜、二人は遂に対峙する。二 ぞれが行き着いた先には…。
キャスティングが絶妙です。
主役の中村健一が堺。いつも作業着姿でボーッとしています。糖尿で亡くなった奥さんに止められていたプリンがやめられず、彼女の声が入った留守電を聞き、いつもポケットにはブラをしのばせて匂いを嗅ぎ、とかなりクセがスゴイ役です。
中村の奥さんをひき逃げした木島役は山田孝之。「ウシジマくん」「クローズ」などで悪役もお馴染みですが、今作の木島はクズ度で言えばダントツです。仕事もなく、後輩が恋人と同棲するアパートに居候、その部屋でリンチはするわ、気に入らない(気に入った?)交通整理のガードマンのお姉さん(谷村美月)から財布を奪った上に草むらに連れ込むわとやりたい放題です。
木島の後輩役の綾野剛の小市民的なチンピラもふだん見れない感じでいい。
その他、堺のことを心配して親身に世話を焼く唯一の存在である義兄に新井浩文。山田らに捕まってボコボコにされてしまう、彼としてはやはりレアな役柄。
ちょい役でホテトル嬢を演じる安藤サクラもインパクトあります。
↑二本ともこちらで観られます。
本編を通しての印象は、ドラマのようにテンポの良い展開ではなく、映画らしくもったりとした時間軸で展開していきます。
奥さんが亡くなるまえから、ボーッとしていて工場の従業員たちからも馬鹿にされている堺ですが、奥さんの死でますますえらい感じに。
復讐を誓って山田をつけまわす堺はリベンジャーの雄々しさはなく、ヤバいストーカーです。分厚いメガネといつも汗でぺったり額にはりついた前髪がキモさを倍増させております。
クライマックスの二人の決闘シーンは一発撮りだそうで、演技巧者二人が見事に火花を散らしています。カッコ良さは微塵もありません。でも、ちょっと記憶に残るシーンです。
ラストシーンに関しては、その解釈で堺と監督の間で議論があったそうです。
ハッピーエンドとはいかないまでも、そこに〝救い〟を見出した堺と、
バッドエンドとはいかないまでも、〝虚無の日常〟を意図した監督と。
どちらともとれるラストです。ラストまでため込んだ理不尽さへのストレスをスッキリとさせてくれる「半沢」のようなシステムではないのでご注意を。
もう一本は『鍵泥棒のメソッド』。'12年の作品です。
こちらではなんと香川照之との共演という半沢ファンには見逃せない作品です。
『その夜の侍』のDVDで予告編を見て、面白そうだったので観てみました。
ストーリーはこんな感じです。
35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。(シネマトゥデイ)
こちらの堺もかなりダメな人です。でもこちらはコメディなんで、そんなにヘビーな感じではないです。
殺し屋になってしまった堺が、殺せと依頼されたれた女性を何とか逃がそうと計画をたてるのですが、そのタイミングで香川の記憶が戻ってしまい計画は二転三転して予想もつかない展開をみせます。その予想を裏切り続ける展開が見事です。
でも、個人的には『その夜の侍』のほうが見ごたえあった感じ。
トレーナー&ジーンズ姿の香川照之が広末涼子と映画デートのシーンもなかなかレアではありましたがw
『その夜の侍』よりも全然安心して観られる作品です。
ただ、最近TVドラマばかり観ていたせいか、やっぱりテンポがゆっくりめに感じてしまいますね。TVが急ぎすぎなんでしょうね。
↑こちらで観られます。