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『ゴーゴーバーの経営人類学』をやさしくまなぶ ⑳ゴーゴーバーは怪しい市場(後編)


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『Spice Girls』(facebookより)

 

 

市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。

 

 

前回はゴーゴーバーはわれわれがフツーにイメージする市場原理のはたらかない市場、モロッコやバリのバザールのような「バザール型市場」だというお話でした。

ざっくり雑に言うと、言い値もまかりとおる〝怪しい市場〟であるということ。

そんな「バザール型市場」とゴーゴーバーの共通点について1つずつ見ていきます。

 

バザールってこんなイメージw

 

1.売り手と買い手が密集する空間である

バンコクのゴーゴーバーは密集しています。

パッポン、ナナプラザ、ソイ・カウボーイのいずれにおいても、ゴーゴーバーは軒を連ねるようにして建っています。その占有面積は狭く、端から端まで歩くのは簡単です。

この点から、ゴーゴーバーはバザールのように売り手と買い手が密集した取引の場として機能していると言えます。

 
2.価格・取引条件などの対面交渉

ゴーゴーバーが店として提供するのはドリンクであり、基本的には女のコをあっせんするわけではありません(実際はしてますけど)。客がゴゴ嬢らと話したり、店外へ連れ出したい場合には、直接本人とコミュニケーションすることが必要です。

 

つまりゴゴ嬢たちとしても客としても、相手とサービスの内容とその価格を交渉することなしには、ペイバーという次のステップに進むことはできないのです。

 

 
3.不特定多数の取引相手

ゴーゴーバーには小さな店でも10人程度のゴゴ嬢らのバーガールがいます。大規模店ともなれば100人以上が店内でひしめきあっています。

 

男性客も何軒ものバーをはしごすることができます。実際、1軒の店でずっと腰を落ち着けて飲む客は少数派です。

 

つまり、バーガール側も男性客側もどんな相手とでも交渉することが可能で、取引相手が常に不特定多数である、ということが言えます。

 
4.個人対個人の取引

ゴゴ嬢らにとっては、接客もペイバーされることも、基本的にはお金を得るために行っています。彼女らが店の売り上げをあげることは、結果的には店の利益になりますが、実際彼女たちは店のために働いているという意識はありません。

 

ゴゴ嬢らは店という組織の一員としての自覚をもってやっているわけではないため、彼女らの行動を考える場合、工場労働者のような賃金労働のモデルは当てはまりません。

 

 
5.商品が標準化されたものでなく、かつ商品と取引相手に関する情報が不十分

ここで言う「商品」をゴーゴーバーに当てはめると「サービス」ということになります。このサービスの内容は日本の風俗(あるいはタイのMPなど)とは異なり、マニュアル化されていません。

ペイバー後のサービスの内容はあらゆる可能性に満ちています。

 

男性客はそれまで経験やの相手とのコミュニケーションからサービスの内容を予測するしかありません。

 

ここでゴーゴーバーが外国人男性専用の娯楽施設であることが大きなポイントで、言葉のコミュニケーションが不十分なことから、理解不足や誤解が生じやすいのです。

つまりそれはサービスと取引相手について正確な情報がないということなのです。

 

6.インフォーマル性が強く、正式な手法や誰かに管理されていることがない

これまでに述べてきた「バザール型の市場」の特徴は怪しさやうさんくささが強まるにつれてより顕著になります。

 

性的サービスはほとんどの国では違法です。タイの場合でも同様でゴゴ嬢らと客との取引で何かトラブルが起こっても店は助けてくれないし、警察にも駆け込みづらいことになります。リスクはゴゴ嬢らが負わなければなりません。

 

男性客にとっても、ゴゴ嬢が盗みをしたり、約束を守らなかった場合の補償はだれもしてくれません。

 

そんな危険を回避するためには、自らの判断や、知り合いに頼らざるを得ないのです。

 

 

本日は人類学における〝バザール型市場〟とゴーゴーバーの類似点について、『ゴー経』の中からまとめてみました。

そもそもバザールのイメージがないものでよくわからないですw

でもここに書いてあることはゴーゴーにも多少当てはまっているようにも思えます。

 

 

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