市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』（03年）の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
本書に描かれているシチュエーションは20年前のものなので、金額などはそのあたり含みおきください
ゴゴ嬢の思考や行動も当時とはけっこう変わってきていると思います
前回までに解説したチャート上の４つのパターンでいうとゴゴ嬢と客の関係は〝商取引き〟の関係から始まるパターンがほとんどです。
つまり、ゴゴ嬢はあくまで「お仕事」で客と接しており、カネ以外に客の男に対して、あまり興味がない状態からスタートするということですね。
だからその関係は、本来であれば入れて出しておカネを払えば終了、１度きりで終わってしまうものです。しかし、ゴゴ嬢か客のいずれかもしくは双方が相手に対して興味を持つことがあり、そうすると関係が続いていく場合もあるのです。
相手に対して興味を抱く要因は、これまでにも書いてきたとおり、ゴゴ嬢側の営業戦略上の判断、つまり、
「まあ、そんなに嫌な客ではなかったから次回もアリかな。とりあえず危なくはなさそうだし」
……ていど理由からというのがほとんどです。しかし、そこには相手への愛着の感情も少なからずあるのだ、と市野澤先生は指摘しています。
ゴゴ嬢と客の出会いは、男性客は旅行で数日間だけバンコクを訪れた、というパターンが多くを占めます。
にもかかわらず、ゴゴ嬢と客が相手に対して好感を持つという事態は少なくないです。
最初は外面だけだった親密さが、会う回数と時間が増すにつれて深いものとなって、付き合いが数か月、数年にまでおよぶことも少なくありません。
その原動力となるのは、やはりカネがらみの話だけではなく、相手に対する感情的な愛着が大きな役割を果たしていることは間違いないでしょう。
そういったケースは他ジャンルのフーゾクよりも、ゴーゴーのほうが多いのではないかと、市野澤先生は指摘しています。
どうなんでしょうね。僕はゴーゴー以外は行った回数が少なすぎるんで、何とも言えませんけど、例えばカラオケとかクラブなんかは仲良くなれそうな気もしますけど。
それはさておき、なぜ、他のジャンルのフーゾクよりも、ゴーゴーバーで出会った男女間には〝好意〟が生まれるのか。
市野澤先生が考察した理由は次回。
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