市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
ゴゴ嬢が客をはかる「ものさし」は、①金離れがよいか ②リピートしてくれるか、の2点だというのが前回のお話でした。
この2点とゴゴ嬢が短期決戦志向か長期戦志向なのか、そして銭ゲバなのか怠け者なのかの2つの要素をもとにざっくりと表をつくると以下のようになります。
それぞれの要素からざっくり4つの戦略が見えてくることになります。
今回はそれぞれの戦略について説明していきます。
1.商取引戦略
男性客の金離れが悪く、かつリピートしてくれそうにない場合です。
バンコクに数日間しかいない観光客でしかもケチ、なんてパターンですね。
その場合、バーガールは商取引戦略をとります。
具体的には1回ぽっきりで金銭でのSEXをオファーすることです。
二度と会わないので、その場でいくら現金を引き出せるかが勝負ですが、金離れが悪いからサービスしてもほぼムダです。
従って、やることをとっととやって速やかに次の客を見つけることがベストなのです。
その意味で商取引戦略は、多売・高回転をめざす戦略です。
キスはもちろん前戯もNG、ローション塗って入れて出すだけなんて強者も多々。
有名店の超人気嬢には多いです。
2.収奪戦略
リピートはなさそうでも金離れが良さそうだと、ゴゴ嬢は収奪戦略をとります。
ミッションが1回こっきりなのと、金銭でSEXをオファーする点は商取引戦略と同じですが、収奪戦略ではSEX以外にもお客と行動を共にしようとします。
買い物に行く、観光ガイドをする等の口実でプレゼントや小遣いをあからさまにねだり、一緒にいる間にATMのごとく引き出せるだけ引き出す。
あまりに図々しくいろいろねだられると男性客的には不快ですが、ゴゴ嬢にすればもう会うこともないので、知ったこっちゃないです。
この戦略においても志向するのは多売・高回転です。
利益を吸いつくしたら次のターゲットに向かう貪欲な姿勢は、焼き畑農法にたとえることができるかも知れません。
3.日和見戦略
ケチだけどリピはしそうなお客の場合、ゴゴ嬢は日和見戦略を発動します。
ケチな客に対してあからさまに金銭を要求するのはやっぱり逆効果です。
仲良くなることを考えれば、お客の自由にさせるべき。そうすれば長期的には獲得できる利益も大きくなる可能性があるのです。
ただし、投資効率の観点から相手に費やすサービスなどの労力は最小限です。
サービスするというのはいわば投資なのであまりしちゃうと損をする可能性が高くなってしまうのです。
適当にあしらいながら関係を保っておき、刈り取るチャンスを待ちます。
この戦略はゴゴ嬢にとってはラクです。お客への積極的な営業を放棄することによってできた時間と手間を、もっとオイシイ客探しに使うことができるからです。
4.多角化戦略
男性客の金離れが良く、リピートもありそうな場合は、バーガールは収奪戦略のようにあらゆる手管で現金を引き出すことを目論見つつ、仲良くなろうとと努力することも忘れません。つまり多角化です。
一緒に飲みに行ったり食事をしたり、客が店を訪れたときには、ドリンクなしでも席で話すなどを通じて「仲良し度」を深めます。
いったん仲良くなってしまえば、気前のいい客ならなにかと金銭的な恩恵を与えてくれるし、会うことも多いのでチャンスを狙い続ける必要もないのです。
ゴゴ嬢は自分の要求をぶつけるだけでなく、お客が求めていることを嗅ぎ取って、その延長線上で自分の利益になるような方法を探ります。
時には自分だけではなく相手にも得になるように気を利かせるのです。
夢もへったくれもなくなるお話ですね。もうちょっと現実はましなのではないかと思っております。僕だって必ずしもお金だけじゃない友達も…いる……かな?(涙目)
また実際こんなにクレバーに考えているゴゴ嬢なんてどれだけいるんだろうという気もします。もっと目先のことしか考えていないやつばかりな気がw
次回はケーススタディです。
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