市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
ちょっと間が空いてしまいました。すみません。
ゴーゴーバーは弱肉強食。強者、すなわち若さと美しさを備え持ったゴゴ嬢は何したっていいんだぜっていう、どこかやるせないお話。
……そんなんでしたっけ? ともあれケーススタディですw
【ケース12】
リーはナナプラザ1階の大型店で働いている。色白で中国系の顔立ちをしており、ショートカットの髪をカラーリングして、今風のギャルのようなルックスだ。厚底ブーツで若作りをしているが、26歳である。自分が小柄で幼く見えるので、あえてギャルっぽくしているのだという。
リーはダンサーだが、ほとんど客をとらない。日本人のハゲ(パトロン)がいて、月に40000バーツの送金があるため、お金には困っていないのだ。ハゲは手当のほかにアパートの家賃も払ってくれている。
したがって、リーがナナプラザで働いているのはお金のためではなく、家にいてもつまらないから友達が多くいる店に来ているのだという。
実際、勤務態度も酷いもので、遅刻欠勤は当たり前、店の中では友人たちとムダ話に花を咲かせているだけだ。
それでもぶっちゃけカワイイので、彼女に興味を示す客は多い。リーは気に入った相手とだけ、一緒に遊びに行ったりSEXをしたりしている。すでに満足な収入はあるので、よけいな仕事は抱え込みたくないのだ。
〝えっち〟のときは相手がお金をくれればもらうが、強く請求することはない。
ハゲに対しては、自分はダンサーとして働いているだけで客はとっていないと言っている。ハゲのほうもリーを100%信用しているわけではないが、あえてツッコむことはない。リーはハゲに対して全く愛情を感じていないので、他の男と遊ぶことに罪悪感はないという。
リーはハゲがふだん日本にいてたまにしかタイに来ないからつき合いを続けているのだという。もしハゲがバンコクに住むことになったら一緒に暮らすのはまっぴらだというのだ。最近、ハゲがバンコクを訪れる頻度が高くなり、リーは憂鬱だ。
……と、そんな彼女の愚痴をよく聞いていた著者に、ある日リーは奇妙なオファーをもちかけた。彼女の現在の部屋とは別にアパートを借りて一緒に住まないか、と言うのだ。家賃は全額リーの負担、ただハゲがバンコクに来たときには、リーは本来の部屋に戻ってハゲと過ごすという条件だった。
著者は最初は冗談と思ったそうだが、どうやら本気らしい。正直心を動かされたものの、丁重にお断りしたところ、それがプライドを傷つけてしまったのか、以来あまり口をきいてくれなくなってしまった。
このケースでゴゴ嬢は特定の男性から多額の送金を受けていながら、気が向いたときには他の男性客とのビジネスも行っています。
彼女は可愛くて人気があるのでどんなやり方でもそれなりに稼ぐことができるのです。
このようなゴゴ嬢は気分で行動パターンを変えます。しかし、その行動は必ずしももうけを目的とはしていません。
彼女のハゲに対する扱いはなるべく関わらずに金だけもらいたい、という意図が透けて見えます。
カネよりもしんどいことは避けたいという気分優先なのです。
さらに、彼女が他の男と関係を持つときは、セックスワーカーとして客をとる、のではなく〝浮気〟のようなノリでやっている点にも着目する必要があります。
これは金銭的は損得でやっているというよりは、明らかに〝気分的〟な行動です。
このようにゴゴ嬢の日々の行動は、気分を優先したがために、現金収入増大への道をしばしば踏み外します。まったく合理的ではないのです。
リーの話で思い出したんですけど。
昔レインボー1に番長グループみたいな3人組のゴゴ嬢がいて、それはそれはブイブイ言わせていたんです。
顔はそうでもないんだけど、スタイルは良くてガンガン踊る姿もカッコ良かったです。
いつもステージの入り口から一番目立つ〝センター〟的な位置に陣取ってガンガン踊っていて、目立つんだけど、なぜかペイバーされている気配がまったくありませんでした。それでいて、クラブに行くと男抜きで遊びに来ていたりして。
一度、その中の一人を席に呼ぼうとしたら、拒否られたんですよね。あからさまに拒否られたのって後にも先にもこのときだけなんで。まあ、とにかく記憶に残っています。いつの間にか三人とも消えちゃいましたねえ。
やはり、こういうゴゴ嬢を口説くのが、ゴーゴーバー・ドリームではないでしょうか。
市野澤先生が羨ましいです。
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