市野澤潤平氏著『ゴーゴーバーの経営人類学』(03年)の内容をときどき感想などもはさみつつ紹介しています。
ゴゴ嬢的にも客との関係は長いことに越したことはありません。
それは経済的な理由だけでなく、相手へ湧いて来る〝情〟みたいなものがあるからだ、という話を以前にしました(たぶん)。
本書にちょいちょい登場するコーエンさん(どこぞの先生)も、バンコクの女性セックスワーカーが男性客との関係を続けていくには、リスク回避や利得の増大の他に、男性客に対する心理的な愛着の強弱が関係を決定づける、と発表しているそうです。
コーエンさんは感情的な関係(つまり恋愛関係ってことですな)、の対極をカネだけの関係だとすると、この二つの間のどこかにリアルなゴゴ嬢と客の関係が位置していると考えました。
しかし、そんな図式だけでは不十分だと市野澤先生はおっしゃっています。
恋愛とカネ以外にもいろいろな範囲に及ぶゴゴ嬢の関心の広さはそれではとらえられないというのです。欲がでっかいんです。
前章ではバーガールのカネへの執着をもとにした戦略判断をチャートで説明しました。
↓こんな感じ
本章ではさらにゴゴ嬢の客への愛情とカネへの関心から、客との関係を読み解きます。ここではゴゴ嬢の経済的関心と経済外への関心がどれだけ強いかで関係が基本的に決まるという考え方になっています。
もちろん、実際には客側の意思も大きな要素になりますし、何よりカネを払うのは男性です。さらに男性は1人のゴゴ嬢との関係よりも、複数のバーガールとの関係性から選択する権利を持っています。
ですので、ここではゴゴ嬢のほうが両者の関係性を決める、と仮に考えて簡略化したチャートを作っています。
ざっくりとバーガール&客の関係のパターンを説明するのには、このほうがわかりやすいとのことです。
もちろん、実際のゴゴ嬢と客の関係はこのようにきれいに当てはまるものではないでしょう。
双方の気持ちも周囲の状況によって刻々と変化していくため、その関係もチャート上の一点に固定されるのものではありません。
次回から個々のパターンについてケーススタディで解説します。
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