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巣ごもり生活に滲みる『火口のふたり』レビュー


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エロいです。でも、どこかもの悲しく、おじさん的にはちょっとキュンときたりもします。

 

『火口のふたり』。東日本大震災から7年後、勤め先の倒産、離婚で心を病んですべてを失った賢治(柄本佑)。従妹・直子(瀧内公美)の結婚式に出席するために故郷の秋田に帰省する。3年ぶりに再会した直子とは、かつて東京で深い関係だった。

 

「もう一度だけあの頃に戻ってみない?」という直子の誘惑に乗ってしまう賢治。「一度だけ」だったはずの関係は、直子の婚約者が出張から戻るまでの5日間、ずるずると続くことになるのだった。戻れない深みにハマっていく二人の関係の行方は……というお話。

 

最初から最後まで登場人物は二人だけ。まったく二人だけの世界で話が展開していきます。

直子は賢治と別れた後、どんなにたくさんの相手と関係を持っても、賢治のときほど感じることはなかったと告白します。感じるのは血のつながりがあるからだ、と。

 

「みんな私たちみたいに気持ち良くて、やめようと思っても、なかなかやめられないんだよ。私たちって血縁なんだし、切っても切れない関係なんだよ。だから彼が戻ってくるまでいろんなことやったっていいし、戻ってきたらやめちゃえば」

 

ヤッて食べて飲んでまたヤッて。そんな5日間は夢のように過ぎ去りました。その間の二人のやりとりでは「あのとき、もしかしたら」なんて、過去を振り返ってみると、別の未来像が垣間見えた瞬間もあったかもしれません。でも、約束の期日はやってきました。

 

『恋つづ』で上白石姉の先輩役だった瀧内公美が気になっていたので観てみたんですけど、期待通りでした。キネマ旬報ベストテンでの主演女優賞は伊達じゃありません。ドラマではサバサバしたお姉さん的なイメージでしたが、〝妹的な幼馴染感〟ばっちりです。

 

お風呂のお湯に沈んだ肌の白さがむっちゃキレイです。

 

AVほどに艶っぽすぎることなく、ほんのりとしたロマンポルノ的な演出の濡れ場が叙情的です。遥か昔の忘れられない相手とのそういう時間、を思い出してしまいます。

柄本佑のカッコ悪すぎず、良すぎることもない存在感も立っています。

 

監督の荒井晴彦という人は脚本で有名な人らしいです。御年70過ぎとのことですが、映像が若々しい。写真家の野村佐紀子氏が手がけたという作中に出てくる二人のモノクロのスチールも生々しい空気感があってエロい。いいです。

 

 

5日目の朝、「結婚式でね」と書置きを残して消えた彼女。しかし、物語は意外な顛末へ。

 

〝震災〟の残滓みたいなものが作中のそこここにありましたが、それは最後に大きな形で二人の前に突き付けられることになります。

 

「もう何が起きてもおかしくないよ、この国は」

「戦争みたいな時代が来るな」

 

二人の言葉が、現在の日本の状況と絶妙にオーバーラップしてしまうラストでした。

 

結局人間、ヤッて食え、と。

巣ごもりで家の中には老父母しかいないので、人肌恋しくなってしまう作品ですw

頑張って生きるよ♪