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『バンコクドリーム「Gダイアリー」編集部青春記』レビュー


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バンコクドリーム 「Gダイアリー」編集部青春記

 

かつてはタイに行くとまず、日系書店に行って『バンコク週報』と『G-Diary』を買うというルーティンがありました。わざわざ書店に行かなくても、そのへんのコンビニで手に入ることもありました。

 

とくに何が読みたいというわけでもないんです。例によって定点観測というか、そこにある景色に変わりはないかということの確認だと思います。

 

巻頭の特集は面白かったり、そうでもなかったり。

 

プーケットの夜が凄い・バトンビーチの女に癒されて』だとか『タイで死にたい!?日本人を辞めてしまったある〝社長〟の生き方』とか、かと思えばニューギニアの奥地をゆく・秘境イリヤンジャジャ滞在記』などなどナショナル・ジオグラフィック的な民俗学的な硬派記事から風俗ルポまで幅広すぎるラインナップにはしばしば戸惑うこともありましたが、いつも楽しく拝読してました。

 

『Gダイ』といえば、その目玉の一つが『最強マップ』です。

その作り込みかたの偏執ぶりから〝変態曼荼羅と称されたバンコク(後年はその他の都市も)の地図は見るたびに少しずつアップデートされており、「どこそこの店には土日に女子大生がいる」等々の豆情報を見るのも楽しみでした。あれ、一件一件が筆者が足で稼いだ情報だというこだわりぶりが本書にも書かれています。

 

 

本書を読んで初めて知ったのですが、『G-Diary』って1999年創刊だったんですね。僕が初めてタイに行った頃からの付き合いだと思っていたので意外でした。でも、それだけ〝ともに戦ってきた感〟みたいなのが強いんだと思います。

 

さらに、筆者がGダイで活躍していた06年ごろは僕もいろいろと今後のタイとの関わり方を自分なりに模索し始めていた時期なので、個人的に思うところも多いです。自分の進むべく道に迷いながらもタイという未知の社会に飛び込んでいった筆者と、「このままじゃ」と思いつつも何となく流されて年月を経てしまった僕のコントラストを想うと痛いです。

 

誌面を眺めていただけではわかりませんでしたが、実は当局の規制が厳しくて廃刊の危機が何度かあったことも、なるほど、国が違うとそういう事情もあるんだろうなあと思いつつ読みました。クーデターやデモ騒動の裏側なども思い出深く。

 

また、本書で知りたかったことのひとつが、11年の「アジアの雑誌」分裂の真相でした。そのあたりの事情を知らずにあるときタイに行ったら2冊並んで売られていたので非常にびっくりした記憶があります。そのあたりの事情も、一方の当事者からの証言ではありますが、初めて明らかにされております。

 

個人的にはバンコクゴーゴーバー最強マップ」の羽井根健太郎氏のあとがまになるのが夢でしたw

 

そんな僕の夢と煩悩と来し方がごちゃまぜになった『G-Diary』を偲ぶ一冊です。

バックナンバー、断捨離で全部処分しちゃったけど、また集めようかなあ。