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ダメな人たちだって生きていく。『ひとよ』レビュー


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アエラ.dotより https://dot.asahi.com/aera/2019111200040.html

 ↓こちらで観られます

 

久しぶりのDVDレビューです。ちょこちょこといろんな作品を観てはいるんですが、ここでわざわざレビューを書くのもなあ、と思うような作品ばかりだったので。

『ひとよ』は昨年公開の作品です。今回もまったく取り上げるつもりはなかったんですけど、観ている間はかなり惹き込まれてしまったもので書いてみたいと思います。

 

そもそもGEOでレンタルする作品を選ぶときに、前向きな感じでは選べませんでした。

父親をひき殺した母親が15年ぶりに家に帰ってきて3人兄妹と再会する話──、さわりを聞いただけで重くてもたれそうな感じです。まだフツーに人がゴロゴロ死ぬやっすいサスペンスなんかのほうが、暇つぶしには良い。そんな感じでしぶしぶ視聴した次第。

 

あらすじはこんな感じです。

どしゃぶりの雨降る夜に、タクシー会社を営む稲村家の母・こはる(田中裕子)は、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち三兄妹の幸せと信じて。そして、こはるは、15年後の再会を子どもたちに誓い、家を去った—。たった一晩で、その後の家族の運命をかえてしまった夜から、時は流れ、現在。次男・雄二(佐藤 健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の三兄妹は、事件の日から抱えたこころの傷を隠したまま、大人になった。抗うことのできなかった別れ道から、時間が止まってしまった家族。そんな一家に、母・こはるは帰ってくる。15年前、母の切なる決断とのこされた子どもたち。皆が願った将来とはちがってしまった今、再会を果たした彼らがたどりつく先はー。
 

 ↓こちらでも

 

白石和彌 監督の描く寒々とした地方都市の情景が好きです。「孤狼の血」とか「凪待ち」とかにも共通するあの暗くてくたびれた町や店などの風景がどこかたまりません。

僕、この監督の作品が好きなのかも知れません。

 

そんな地方の寂れた空気感も見どころではありますが、一番の見どころは芝居達者なキャストたちがふだんは見慣れない役柄なのにバッチリハマっているところでしょうか。

 

長男役の鈴木亮平は吃音でイジメられてきたマザコン、長女の松岡眉茉優は酒グセが悪いはすっぱなスナックの女、次男の佐藤健は執念深い陰キャの三流雑誌記者と、クセの強い人たちばかり。これに殺人犯なのにどこか他人事っぽい田中裕子や、かなりブラックな過去を背負いつつ真人間を演じている佐々木蔵之介が加わります。

 

すべたキャラの松岡茉優は「万引き家族」などにも通じる部分ではあるし、この人はこういう役のほうが似合っている気もします。しかしながら、他のキャストは見慣れない役柄なのでとにかく目が離せません。

ザコンなのに母親は死んだことにしていて嫁に責められる鈴木亮平や母親が殺人者であるがゆえに迫害を受けておきながら、自らの手で事件の記事をほじくり返す佐藤健は歪んではいますが、どこか悲しくて嫌悪感を持つことはできないのです。

鈴木、松岡はもとより、あらためて佐藤健って芝居上手いんだなあと初めて思いました。「恋つづ」なんてウンコみたいだと思ってましたけど。

また、ある意味家族が再編される触媒のような存在になった佐々木蔵之介の役柄もなかなか壮絶です。子供のために足を洗って真面目になったはずだったのに、最悪の形で過去からのしっぺ返しを受けたときの、その絶望。ホントに見どころ盛沢山です。

 

「家族」というちょっと暑苦しいテーマなのに、登場人物たちがいびつな人たちばかりなので、すっかり惹き込まれてしまいました。ダメな人たちなんですけど、みんな自分なりに真っすぐで愛すべきところも見せてくれます。

 

なかなか〝観よう〟という食指が動きづらい作品ですが、良かったです。

年末年始に時間が余っていたらぜひ。

 

↓こちらでたぶん観られます