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よるのたび ホーチミンシティ・ナイト(3)2軒目はビアオム


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結婚式のカップル(本文とは関係ありません)

 

 

タクシーに乗ってやってきたのは、オフィス街にある1軒のビルでした。

中に入るといきなり扉を開けたところに数十のデスクが並んだぶちぬきのフロアがあり、若い男女が忙しく立ち働いていました。

Y氏の後についてフロアを横切って行くと、一番奥にパーテーションで区切られた部屋がありました。そう、映画やドラマなんかで偉い人がよく使っている個室です。

Y氏はノックもせずに部屋の扉を開け、中へ入って行きます。

「ここ、俺の部屋だから」

 

先ほどのフロアにいたのは全部Y氏の部下だそうです。Y氏、ガチでど偉くなっているみたいです。

「失礼します」

ノックをして入って来た男を見て、僕はさらに驚きました。

その坊主頭の背の低い男の顔には見覚えがありました。

そこにいたのは高校の同級生である野球部のSクンでした。とくに仲が良かったわけではありませんが、顔と名前はお互い一致するぐらいの間柄ではあります。Sクンも僕とY氏と大学は同じだったはずですが、大学で彼に会ったことはありません。

Sクンは偶然にもY氏と一緒の職場で働いていたのです。しかもY氏の部下らしい。Y氏は当然僕の出身高校は知っていますから、わざわざ呼んでくれたようです。

つまり大学の同級生と高校の同級生が上司と部下の関係なわけで、大学の同級生同士が金持ちと貧乏旅行者だという人間関係にさらにややこしい要素が加わったわけです。

 

「どこに行きましょうか」とY氏。

「この時間だったら8区しか開いてないですね」とSクン。

「じゃ、8区にしましょう」Y氏に鶴の一声で次の店が決まったようです。

 

再びタクシーに乗り、3人で向かった先は運河沿いの場末っぽい場所でした。

何年か前まではかなり物騒な場所だったそうです。

1軒のビル……というかほとんど民家のような建物に入って行くと薄暗い廊下を通って個室に案内されました。

コンクリート打ちっぱなしのがらんとした部屋には取ってつけたみたいに大画面のテレビとカラオケセットがあり、大きな革張りのソファーセットが置いてありました。

しばらくの間男3人で薄暗い殺風景な部屋のソファに座っていましたが、部屋はしんと静まり返っています。

すると、ボディコン姿の女のコが一人、また一人とやって来て、総勢6人が僕らの横に座ります。

「われわれが来てから召集をかけられたんでしょう」とS氏。

どうやらここは女のコが付くカラオケ屋のようですが、普段からずっと店が開いているというわけじゃなくて、客が来れば営業するというシステムらしい。

まあ、まだ昼の3時だしなあ。フツーにやっている店だって開いてない時間です。

 

Y氏、すでに隣の女のコの胸やら腿やらをさかんに触っております。

僕は両隣に女のコをつけてもらい、ハーレム状態。

色白でかなり日本的な顔立ちをした小柄なコと、ワイルドなプロポーションをした長身のコ。

女のコたちはしなだれかかるようにして僕に躯を預けて来ます。

「女のコ、触っちゃってもいいから」とY氏。

これがいわゆる〝ビアオム(抱きビア)〟というベトナム名物(?)の、いわばベトナム版セクキャバらしい。

女のコによっては事と次第でかなりなことも出来るんだそうですが、10何年ぶりかに会う同級生たちの前でいきなりことに及ぶことはさすがに躊躇われますよ。

相互鑑賞上等のリアルパーティピーポーの僕といえどさすがに。

とかなんとか言いつつ、いちおう右隣のワイルド系の胸元へ手を突っ込んで乳首をいらいつつ、左側のコにフルーツを食べさせてもらったりして、かなり幸せな状態に。

「こりゃあ幸せすぎる……」そんな感じで3時間もいたでしょうか。

僕的にはもういろんな意味でいっぱいいっぱいだったのですが、Y氏の接待はまだ続きくようです。

「じゃ、次いきましょうか」

 

 

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