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よるのたび イスタンブールナイト(5)ぼったくり事件顛末


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こういうショーが見られるお店もあるみたいです。(turkish.jpより)

 

 


ぼったくりであろうことはわかっていましたが、実際に請求書を見たときには、やっぱり腰を抜かしそうになりました。

お値段、何と2580ミリオン也。つまり2580000000トルコリラでした(約17万円)。

すっげえゼロの数です。 思わずゼロの数を何回も数え直してしまいました。

しかし何度数えても(笑) だいたい〝憶〟って何?(笑)

この頃のトルコ人の平均年収は4000ドル足らずですから、どれだけぶざけた価格だかおわかりでしょう。

 

明細を見るとシャンパン1本が300ミリオンで4本も飲んだことになっています。

たぶん4本は飲んでいない。3本だったはずです。

これはシャンパンクーラーが僕からは見えない位置にあるというトリックに違いありません。さすがに文句を言おうとすると、待ち構えていたように支配人らしき恰幅の良い男が出てきました。

髪をオールバックに撫でつけ、映画で見るマフィアみたいに悪そうな顔をしています。

「ここじゃあなんですから、事務所へ」 丁寧な言葉遣いがとっても怖いです。

ニーナたちが気まずそうに席を立っていきます。 さっきまであんなに愛想良かったのに、今では完全に知らんぷりを決め込んでいます。

 

どんな場所に連れて行かれてしまうのかと思いきや、 連れて行かれたのは階段を下りたフロアにあるせまい事務室でした。ちなみに、部屋に入れられたあともドアは開けっ放しでした。〝監禁〟したと後で僕に言わせないための配慮か。

だとしたら、いちおう文明国のルールにのっとってるわけで。 少しホッとしました。

 

「シャンパン300ミリオンっていうのはメニューにもちゃんと書いてあるでしょう?」

確かに彼に見せられたメニューにはそのように書いてありました。

しかし、ピーボから事前にシャンパンは10ミリオンだと聞いていた僕は、 もちろんそんなもん見ていません。そう言われると仕方がありません。

 

「でも、僕は友人から安いと聞いたからこの店に来ました。だからそんな大金は持っていないんです」

さっそく身体検査をされます。しかし僕は怪しい絨毯屋に会うためにパスポートも含め貴重品はすべて宿に置いて来たので、所持金は現金40ミリオン(2800円ぐらい)プラス小銭で10ミリオンほどでした。もちろん、クレジットカード、国際キャッシュカードの類も置いてきています。

 

カバンの中に入った一眼レフのデジカメだけが唯一金目のもの(25万円相当)で、 それを取り出されたときには若干緊迫しましたが。現物はまずいのか、それともそれほどのものとは思わなかったのか、ノーチェックでした。

葉巻がとても似合いそうな支配人は、つとめて穏やかな口調で話します。

「残り2540ミリオン、どうやって払っていただけますか?ホテルに帰ればお金はありますかね?」

 

誰が払うものか。

「ホテルに帰ればお金がないことはないが、払わない」

僕が胸を張ってこう宣言すると、支配人はおやおや、という顔をしてこう言いました。

「払わないって?だってあなたはシャンパンをオーダーしたんですよ、女のコのために。 ずいぶん楽しんだでしょう、女のコと。じゃあ払わなきゃ」

確かにそうだ。そういわれるとぐうの音も出ないんですが、納得してしまっては負けです。

 

「実際にオーダーしたのは僕の友人で、僕は彼から10ミリオンだと聞かされていた」

こんなときでも英語でピーボのクソ野郎のことを〝マイフレンド〟などと言わざるをえないのが口惜しいです。

「こんな高額な代金をはらうつもりはないので、どうか僕を警察に突き出してください。お願いします」

完全に開き直ってやる。これでどうだ。

 

「何を言うんです?」

 ご冗談を、とばかりに口元だけで微笑する支配人。しかし、〝警察〟の言葉で明らかに支配人の態度は変わりました。いうまでもなくピーボは店の手のものなので、 やはり警察沙汰は彼らにとって嬉しくないのです。

っていうか、実は身体検査でクレジットカードやキャッシュカードが出なかった時点で、 僕の勝ちだったのかも知れません。絨毯おやじ様々。

 

「どうあっても払うつもりはない、と?」

「どうあっても払うつもりは、ありません」

支配人は少し呆れたような様子をして見せ、しばらく考えてから言いました。

 

「OK、じゃあ40ミリオンでけっこうです」それでも高いけどな。

「いやいや、せめてこの小銭も払いますよ」

嫌がらせに小銭10ミリオンもそっくり払おうとしましたが、支配人はついに受け取りませんでした。日本のぼったくりバーだと、こんなもんじゃあ済まないんでしょうね。

 

支配人は店の入り口まで僕を送り出しに来ました。

「ほら、ここにもシャンパン300ミリオンって書いてあるでしょう。うちは高級クラブなんですよ」

彼の指差した入り口の脇にある看板には確かにそう書いてありました。

入るときには全く気づかなかったんだけど。隠していた?

最後はなぜか握手でお別れです。さすがに酔いはすっかり醒めてしまいました。

しかし、これでピーボのやつはノーギャラでしょう。ざまあみろ。

 

帰りにガラタ橋下のレストランに寄り、海を見ながらビール2杯。

お勘定のときは少しどきどきしましたが、3ミリオンでした。

 

 

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