ヤムにすっぽかされた(正確には僕が逃げたんですが)次の次の日。
僕はナナホテルのロビーで人を待っていました。
実は前日、いつも通りR3で飲んでいたらミス・レジスターに、
「明日、ご飯に行かない? ヤムも昨日行けなかったから行きたがってるの」
と言われて午後2時にここで待ち合わせているのです。
しかし、約束の2時を過ぎても誰も来やしません。
(また待ちぼうけなのかなあ……)
目の前のソファーではデブのファランとガリガリの年増タイ女がいちゃいちゃしています。そんなのを見せつけられながら僕はボーッと独りぼっちで放置されていたのでした。罰ゲームかい。
すると、ホテルのエントランスからTシャツ短パン姿の女のコがホテルに入って来ました。美人ではないけど目がぱっちり大きくて、ちょっとカワイイです。
(どこかで見たことあるなあ、あのコ……)
女のコは僕を見つけるとこちらへずんずん歩いて来ます。3mほど手前まで来たときにノイの妹分のオーちゃんだということに気づきました。
オーちゃんはいつも酔っ払って騒いでいるノイの後ろに静かに存在しているコです。
たぶん英語もあまり話せないし、前へ出るタイプではないのでしゃべったことはほとんどありません。
「ハロー」挨拶をするとオーちゃんはニコッと笑ってくれました。
「マーブンクロン、行く。みんな、そこいる」
オーちゃんはたどたどしい英語で一生懸命そのようなことを僕に伝えます。
どうやら僕以外のメンバーはみんなマーブンクロン集合らしい。もしかしたら僕にマーブンクロンと言ってもわからないと思われたのでしょうか? それで、たぶん今日のメンバーでは一番下っ端のオーちゃんが迎えに来た、と。
本当ならBTSで行きたかったんですが、オーちゃんと二人きりだと話すこともないし、それ以前に会話ができない気まずさに耐える自信がなくて、タクシー使ってしまいました。
マーブンクロンに着くとちょうどミス・レジスターからメールが入ります。
「富士レストランのフロアで待っています」
エスカレーターを乗り継いでいくと、7Fのエスカレーターを降りた先に花柄ロングのワンピース姿のミス・レジスターが立っていました。でも、彼女1人です。
「ハロー。ヤムやノイも来るの?」
「うん。今、電話してみるね」
ミス・レジスターはその後何人かに電話をかけまくっていましたが、相手が出た様子だったのはほとんどありませんでした。たまに出た相手も彼女からしてみたらありえないような状況だったのか、怖い顔をして激しく何かをまくし立てていました。
嫌な予感しかしないんですけどw
「まだみんな少し時間がかかるみたい。先に入っちゃいましょう。私富士レストランに行きたいんだけどそこでいいでしょ?」
僕はすっかりテンションが下がって気がすすまないのですが、なんだかミス・レジスターはノリノリです。いつもキャッシャーにこもって電卓をたたき続けている彼女とはかなり違うオーラを感じます。
彼女の言うがままに僕とオーちゃんは富士レストランに入るのでした。
(続く)
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