↑のゴーゴーバー画像は本文とはまったく関係ありません。
00年代の「大人のパーティ」に関するお話です。
3軒目に訪れた二丁目のケメコのオカマバー。
そろそろ飲みも佳境に入っています。
アンザイさんの悪口は絶好調です。
今ディスられているのは女性メンバーの本橋さんです。
「あいつってばさ~、前から『アンザイさん、タトゥーカッコいいっすねー』なんて言ってて。そんでこの前『私もアンザイさんの真似して入れちゃいました~』なんて言って見せられたんだけどさあ」
僕は見たことがありませんが、アンザイさんは背中にがっつりタトゥーを入れているんだそうです。それは以前本人から聞いています。絵柄は知りません。
〝タトゥー〟とお洒落っぽい言い回しをしているのは、あくまで本人なので本当はモンモンってやつである可能性もなきにしもあらず。
「それが二の腕にこーんなちっちゃい花かなんかの〝なんちゃって〟なワケよ。ひっくり返りそうになっちゃったわよ」
「何それー。ダサいわねえ~」
ケメコが太鼓もちよろしくへらへらと調子を合わせています。
〝なんちゃって〟のほうが主流でしょ。あんたらの感覚のほうが変。
僕とクワタくんはちょっと飽きてきていました。
まあ僕は酒さえ飲めていれば文句はないんですけど(ただしお会計がすべて僕なのはちょっと納得いきませんが)、クワタくんはカッコつけているわりには酒はさほどでもないみたいで、けっこう酔っ払ってきています。
「これ、いつまで続くのかな~?」
へろへろになりつつあるクワタくんに聞いてみます。
「どうですかねえ~。キクチさんとか年配の人たちと行くと、やたらだらだらと長いみたいですねえ。この間なんか昼まで飲んでいたみたいですよ」
マジか。
しかし、まだ時計の針は12時を回ったばかりです。
お昼までってことは今から半日。まさかそこまでは……。
甘かったです。
時刻はすでに4時を回っています。アンザイさんのボルテージはまったく下がることなく、ずっと誰かの悪口を言ったり、ケメコの恋愛相談なんかで盛り上がっています。
「だからアタシ、もうず~っと1人寝なのよ~」とケメコ。
「なによ。飲み屋やってるんだからやるだけのオトコなんていくらでもいるでしょうよ。潰れたやつを持って帰っちゃえばいいのよ」
アンザイさん、酔っ払ってきたのか言うことがけっこう乱暴になってきてます。
「えーっ、でもアタシだって誰でもいいわけじゃないんだもん」
ぷーっと頬をふくらませるケメコ。
残念ながら彼女、遠藤憲一似の強面系なのであまり可愛くないです。
クワタくんはすでに潰れて向こうのほうのソファーで横になっています。
僕もアンザイさんの話を聞きながらずっと飲んでいるのでぼちぼち限界です。
思い切ってアンザイさんにお願いしてみることにします。
「アンザイさん、僕、けっこう酔っ払ったし、明日仕事もあるからそろそろ帰ろうかなーなんて思ってるんだけど……」
「何言ってんのよ! まだつき合いなさいよっ」
ぴしゃりと却下されてしまいました。
帰りたい……。
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